弊社オルトベースは、税理士・弁護士・行政書士などの士業のホームページ制作を中心に手がけています。開業の準備中の行政書士の先生からも、毎年ご相談をいただきます。結論から書くと、ホームページは登録の申請と同じ時期に作り始め、開業日に公開する段取りがいちばん無理がありません。登録から公開までの段取りと、最初に作る範囲、費用の目安をまとめました。
目次
ホームページは登録の申請と同じ時期に作り始めるのがベター
開業の準備では、事務所の確保、登録の申請、名刺や印鑑の用意など、やることが一度に重なります。ホームページは後回しにされがちですが、登録が終わるのを待ってから作り始めると、開業してから1〜2ヶ月はサイトが無いまま営業することになります。
登録の申請から登録まで2〜3ヶ月を見込んでおく
行政書士の登録は、事務所を置く都道府県の行政書士会を通じて日本行政書士会連合会に申請し、あわせてその行政書士会に入会する流れです。日本行政書士会連合会が定めている審査の基準では、申請書が行政書士会に提出されてから登録までの期間はおおむね75日以内とされています。
書類の不備を直す期間はこの日数に含まれないため、実際には2〜3ヶ月を見込んでおくと安心です。弊社が制作する名刺代わりのサイトは、原稿の元になる情報と写真がそろってから2〜3週間で公開できるので、申請と同じ時期に作り始めれば、登録の通知を待つあいだに仕上がります。
開業日に公開できれば、名刺や挨拶状にURLを載せられる
開業の挨拶状や名刺は、開業日の前に刷り上がっている必要があります。そこにホームページのURLを入れておくと、受け取った方が業務内容を確かめられ、紹介もしてもらいやすくなります。公開が開業の後になると、名刺を刷り直すか、URLの無い名刺を配ることになります。
| 時期 | 登録の手続き | ホームページ |
|---|---|---|
| 開業の3ヶ月前 | 事務所を決め、申請書類を集める | 制作会社に相談し、事務所名とドメインを決める |
| 開業の2〜3ヶ月前 | 行政書士会に登録の申請 | 原稿の元になる情報と写真を用意する |
| 開業の1ヶ月前 | 審査・入会の手続き | サイトを仕上げて確認する。名刺・挨拶状にURLを入れる |
| 登録・開業 | 登録の通知、行政書士証票の交付 | 公開。Googleビジネスプロフィールを登録する |
(登録の日程は行政書士会や時期によって前後するので、公開日は登録の通知を受けてから最終的に決める形が現実的です)
開業直後は1〜3ページの名刺代わりのサイトから始める事務所が多い
開業したばかりの時期は、扱う業務も料金もまだ固まっていないことがほとんどです。最初から10ページを超えるサイトを作ると、業務が決まった段階で書き直す部分が多くなります。弊社の経験では、開業の準備中の先生は、まず1〜3ページの名刺代わりのサイトで公開し、半年ほどたって相談の多い業務が見えてから、その業務のページを足していく進め方を選ぶことが多いです。
名刺代わりのサイトに載せる内容は4つで足りる
- 事務所の名前・所在地・連絡先と、行政書士会への登録番号
- 扱う業務(中心にしたい業務を先頭に)
- 代表のプロフィールと、行政書士になった経緯
- お問い合わせの方法(フォーム・電話・オンライン面談の可否)
開業したばかりで実績が少ないことは、気にする必要はほとんどありません。依頼する人が知りたいのは、自分の手続きを扱っているか、話しやすそうな人か、費用はどれくらいか、の3点です。前職の経験(建設会社の総務にいた、入管の窓口にいたなど)は、実績の代わりに専門性を伝える材料になります。
分野のページは、業務が固まってから足す
相談を増やしたい業務が決まったら、その業務だけを扱うページを足します。要件・流れ・費用・よくある質問まで1ページで読み切れる分量にすると、「建設業許可 + 地域名」のような検索から入ってもらえる入口になります。弊社で制作したサイトであれば、業務のページを1ページ足す費用は4万円台が目安です。業務ページの原稿の書き方は、下記の記事でまとめています。
最初に決めるのは、どの許認可で相談を受けたいか
ホームページの構成より先に決めておきたいのが、中心にする業務です。行政書士が扱える書類は数が多く、ホームページで全部を同じ重さで並べると、どの業務の事務所なのかが伝わらなくなります。
何でも扱う見せ方は、検索でも比較でも残りにくい
許認可を取りたい人は、「建設業許可 東京」「在留資格 変更 行政書士」のように、手続きの名前で事務所を探します。何でも扱う事務所のサイトは、どの手続きの名前で検索しても、その手続きを専門に扱う事務所のページに順位で負けやすくなります。比較の段階でも、「この手続きに詳しそうな事務所」から先に問い合わせが入ります。
弊社が制作した建設業許可を専門とする行政書士事務所のサイトでは、許認可ごとに業務のページを6つに分け、許可の要件に関する記事を積み上げた結果、要件に関する言葉で1位、「行政書士 + 業務名」で4位まで順位が上がりました(記事は127本と多く、同じ結果が出るとは限りません)。
分野は、依頼の多さと自分の経験が重なるところで選ぶ
| 分野 | 依頼する人 | 調べる言葉の例 |
|---|---|---|
| 建設業許可 | 独立した職人・工務店 | 建設業許可 要件、500万円 工事 許可 |
| 在留資格・ビザ | 外国籍の方・雇用する企業 | 就労ビザ 申請、配偶者ビザ 必要書類 |
| 相続・遺言 | 相続が起きた家族・高齢の方 | 相続手続き 代行、遺言書 作成 費用 |
| 補助金 | 中小企業・個人事業主 | 補助金の名前 + 申請 代行 |
| 産業廃棄物・運送業 | 運送・解体などの事業者 | 産廃 収集運搬 許可、運送業許可 取り方 |
事業者向けの許認可は、許可を取ったあとも更新や変更の届出が続くため、継続の依頼につながりやすい分野です。個人向けの相続や在留資格は、1件ごとの依頼が中心になる一方、地域で探されることが多く、地域名と組み合わせた言葉で上位を狙いやすい傾向があります。(地域の競合の状況によって変わるので、候補の分野ごとに一度検索してみるのが確実です)
事務所名・ドメイン・ロゴは同じ時期に決めると手戻りが少ない
事務所名、ドメイン(ホームページの住所にあたる文字列)、ロゴは、名刺・看板・ホームページのすべてに使います。別々の時期に決めると、名刺を刷ったあとにドメインが取れないと分かる、といった手戻りが起きます。
事務所名には「行政書士」の文言を入れる
日本行政書士会連合会の事務所の名称に関する指針では、事務所の名称に「行政書士」の文言を入れることになっています。ほかの法律で使用が制限されている名称や、行政書士の事務所であることを誤解させる名称も使えません。事務所名の候補を決めたら、申請の前に行政書士会に確認しておくと安心です。
ドメインは事務所名か、中心にする業務の名前で取る
ドメインは、事務所名のローマ字(例 yamada-gyosei.jp)か、中心にする業務の名前を入れたもの(例 kensetsu-kyoka-tokyo.jp)のどちらかにする事務所が多いです。業務の名前を入れたドメインは分かりやすい反面、あとで業務の幅を広げたときに名前と合わなくなります。開業時は事務所名で取り、業務の名前はページのタイトルや見出しで伝える形がベターです。
ロゴは名刺を入稿する前に決める
ロゴは名刺と看板に入るので、名刺の入稿より前に決まっている必要があります。ホームページの配色と合わせて考えると、全体の印象がそろいます。弊社ではホームページとあわせてロゴの制作もお受けしています。行政書士事務所のロゴの例は、下記の記事でまとめています。
自宅で開業するなら、住所の出し方を先に決めておく
行政書士は自宅を事務所にして開業する先生も多い資格です。登録の申請では、事務所の所在を確認するための書類を求められることがあり(新規登録の手続)、事務所としての体裁は行政書士会が確かめます。そのうえで、ホームページやGoogleマップにどこまで住所を出すかは、開業の前に決めておくと迷いません。
自宅で面談しないなら、Googleマップは住所を出さずに登録できる
Googleビジネスプロフィール(Googleマップに事務所の情報を出す無料の仕組み)では、その住所で依頼者を迎えない場合、住所を削除してサービス提供地域だけを設定できます。訪問やオンラインでの面談が中心の事務所は、この形で登録すると、自宅の場所を地図に出さずに済みます。
ホームページには面談の場所と方法を書いておく
住所を細かく出さない場合でも、「面談はご自宅への訪問、またはオンラインで行います」「事務所での面談は予約制です」のように、どこでどう会えるのかは書いておくのがベターです。依頼する人は、相談に行けるのかどうかが分からないと問い合わせを止めてしまいます。(弊社の経験では、オンライン面談に対応していると書くだけで、遠方からの問い合わせが入ることもあります)
開業時のホームページ費用は30万円からが目安
弊社の料金の目安は下記のとおりです。初期費用を大きく左右するのは、何ページ作るかです。表示価格はすべて税別です。
| プラン | 費用の目安 | 向いている時期 |
|---|---|---|
| 名刺代わりのサイト | 30万円〜 | 開業の準備中。1〜3ページで、まず公開したい |
| 一般的なサイト | 45〜65万円 | 業務が2〜4つに固まっている。業務ごとのページを持ちたい |
| 集客特化型のサイト | 65〜120万円 | 特定の許認可で相談を増やしたい。事例・お客様の声・記事を積み上げる |
どのプランでも、スマートフォン対応、お問い合わせフォーム、SSL(通信の暗号化)は標準で含まれ、原稿の草案もこちらで作ります。在留資格の業務で外国語のページを用意する場合や、許認可ごとに業務のページを増やす場合は、120万円を超えることもあります。公開後の月額費用は、保守をご依頼いただかない限りかかりません。
自作やホームページ作成ツールと比べるときは、手間と業務のページで考える
ホームページ作成ツールを使えば、月額数千円で自分でサイトを作ることもできます。名刺代わりとして公開するだけなら、それで足りる場合もあります。一方で、開業の準備と並行して原稿・写真・構成を自分で考える時間がかかることと、業務のページを検索される言葉に合わせて作り込む部分は、ツールでは手伝ってもらえないことは知っておいたほうがよいでしょう。費用の考え方は、下記の記事で詳しくまとめています。
広告の書き方は、行政書士倫理の範囲で決める
ホームページも広告の一つとして扱われます。行政書士倫理の第10条では、不当な目的を意図したり、品位を損なうおそれのある広告宣伝を行ってはならないとされています。所属する行政書士会の会則にも、広告に関する定めが置かれていることがあります。
「許可取得率100%」「どこよりも安い」のように、根拠を示せない表現やほかの事務所と比べる表現は、誤解を招くおそれがあるため避けたほうが無難です。報酬は、申請手数料などの実費と分けて「報酬◯円〜+実費」の形で書くと、比べる人にも誤解なく伝わります。
開業したばかりで取得件数を書けない場合は、「建設会社の総務として許可の更新に10年携わった」のように、事実として書ける経歴を載せると専門性が伝わります。表現に迷う部分は、制作の段階で草案を出し、最終的な判断は先生にお願いしています。
最後に
行政書士の開業準備では、ホームページを登録の申請と同じ時期に作り始め、開業日に公開するのが無理のない段取りです。最初は1〜3ページの名刺代わりのサイトで公開し、相談を増やしたい許認可が決まってから、その業務のページを足していく形でも遅くはありません。事務所名・ドメイン・ロゴは同じ時期に決めておくと、名刺の刷り直しのような手戻りも防げます。
弊社は士業のホームページ制作を中心に、開業の準備中の先生のサイトも数多く制作しています。遠方の方ともGoogle Meetでお打ち合わせができます。「開業日に間に合うか」「どこまで作れば足りるか」といったご相談だけでもお気軽にお問い合わせください。行政書士事務所のページ構成の例と費用の目安は、下記のページでまとめています。




