ホームページの制作費に使いやすい補助金は、小規模事業者持続化補助金です。ただし2026年の第20回公募では、ウェブサイトにかかる費用だけでは申請できず、ウェブサイトの部分で受け取れる補助金は30万円(税込)までと決められています。この記事では、公募要領で確かめた条件をもとに、対象になる人と経費、申請から入金までの流れ、補助金を前提に制作を進めるときに困りやすい点を、制作会社の立場から整理します。
目次
ホームページ制作で使いやすいのは小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金)は、小規模事業者が自分で作った経営計画にもとづいて、商工会・商工会議所の支援を受けながら行う販路開拓の取り組みを支援する制度です。補助率は3分の2、補助の上限は50万円で、インボイス特例や賃金引上げ特例の条件を満たすと最大250万円まで上乗せされます(出典 中小企業庁 小規模事業者持続化補助金(通常枠)案内)。
対象になる経費の区分に「ウェブサイト関連費」があり、ホームページの作成や更新はここに入ります。ホームページの制作を考えている事業者が最初に検討する補助金は、ほぼこの制度と考えてよいでしょう。
補助金の額は、対象になる経費に補助率(3分の2)をかけて計算します。たとえば、チラシの制作に15万円、ホームページの制作に45万円、合わせて60万円の取り組みであれば、補助金は40万円が目安です。ホームページの部分(45万円の3分の2で30万円)は、後で説明するウェブサイト関連費の上限にちょうど収まります(消費税の扱いなど細かな計算は事業者の状況で変わるため、実際の金額は商工会・商工会議所と確かめてください)。
デジタル化・AI導入補助金は、制作費だけでは使いにくい
以前のIT導入補助金は、2026年は「デジタル化・AI導入補助金2026」という名前で公募されています(出典 デジタル化・AI導入補助金2026 事務局)。事務局に登録されたソフトウェアやITツールの導入を支援する制度のため、ホームページの制作費だけを目的に使うのは難しいと弊社では見ています(予約や決済のツールを入れる場合は対象になる余地があるので、検討するときは事務局のサイトで登録されているツールを確かめてください)。
持続化補助金でホームページの費用を出すときは条件が3つある
ウェブサイト関連費には、ほかの経費にはない制限があります。第20回の公募要領で決められているのは次の3点です(出典 小規模事業者持続化補助金 一般型 通常枠 第20回公募要領 第8版)。
| 条件 | 公募要領の内容 |
|---|---|
| 単独では申請できない | ウェブサイト関連費だけの申請はできず、ほかの経費と一緒に申請する |
| 補助金の上限がある | ウェブサイト関連費の補助金の申請額は30万円(税込)まで |
| 処分に制限がかかることがある | 50万円(税抜)以上で作ったウェブサイトは、通常5年間、勝手に廃棄したり目的外に使ったりできない |
ホームページだけの申請はできない
もっとも誤解が多いのが単独申請の制限です。「ホームページを作りたいから持続化補助金を使う」という計画は、そのままでは申請できません。チラシや看板などの広報費、展示会の出展費、新商品の開発費など、販路開拓のための別の取り組みと組み合わせ、その一部としてホームページを位置づける必要があります。
士業の事務所であれば、たとえば「相続の相談を新しく受けるために、業務案内のパンフレットを作り、同じ内容でホームページに相続のページを足す」といった計画が考えられます。
経営計画には、ホームページで誰に何を届けるかを書く
申請では、経営計画と補助事業の計画を自分で作ります。公募要領では、客観的なデータを使った市場や顧客の分析、営業の方針などの根拠を添えることが求められています。ホームページを入れるなら「今はどんなお客様が多く、新しくどんなお客様に届けたいのか」「ホームページのどのページでそれを伝えるのか」まで書けると、計画の筋が通ります。
文章とページの案は、制作会社と一緒に作れる
計画書そのものは事業者が書くものですが、ホームページの部分の構成や、どのページで何を伝えるかは、制作会社が得意なところです。見積もりを依頼するときに、補助金の申請を考えていると伝えておけば、計画書に書きやすい形でページの案を出してもらえることが多いです。
ウェブサイトの部分の補助金は30万円まで
制作費がいくらであっても、ウェブサイト関連費として受け取れる補助金は30万円(税込)が上限です。過去の公募回では「補助金の総額の4分の1まで」という決め方でしたが、第20回では金額の上限に変わっています(ネット上には前の回の条件のまま書かれた記事も残っているので、読むときは公募の回を確かめてください)。
50万円以上で作ると、5年間は処分が制限される
ウェブサイトを50万円(税抜)以上の費用で作成・更新すると、そのサイトは「処分制限財産」になり、通常は取得から5年間、事務局の承認なしに廃棄したり、補助事業の目的と違う使い方をしたりできなくなります。とはいえ、補助事業の目的のためにページを改良したり機能を足したりすることは、この「処分」には当たらないと公募要領に書かれています。公開後に中身を育てていくこと自体は問題ありません。
対象になる費用とならない費用がある
公募要領では、商品やサービスを販売するためのウェブサイトの作成・更新や、効果や作業内容がはっきりしたSEO対策(検索で上位に出すための施策)が対象の例に挙がっています。一方で、ウェブサイトに関するコンサルティングやアドバイスの費用、補助事業の期間内に公開(運用)まで至らなかったホームページやランディングページは対象外です。
補助金はあと払いで、交付決定の前に発注した分は対象外
持続化補助金は、採択されたらすぐにお金が入る制度ではありません。交付決定を受けてから発注・制作・支払いをし、その報告をしたあとで補助金が支払われる、あと払いの仕組みです。
交付決定の前に発注・契約・支払い(前払いを含む)をした経費は、補助の対象外です。制作会社との契約や着手金の支払いは、交付決定通知書に書かれた交付決定日より後にしてください。
第20回は申請から公開まで半年以上かかる
第20回の主な日程は次のとおりです。申請してから実際にホームページを作り始めるまで、少なくとも4〜5か月はかかる計算になります。
| 手続き | 日程(第20回) |
|---|---|
| 事業支援計画書(様式4)の発行の受付締切 | 2026年12月4日 |
| 申請の受付 | 2026年11月5日〜12月15日17時 |
| 採択の発表 | 2027年3月ごろの予定 |
| 交付決定 | 採択の発表からおおむね1〜2か月 |
| 補助事業の期限 | 交付決定日から2028年3月31日まで |
事業支援計画書(様式4)とは、地域の商工会・商工会議所が「この計画を支援します」と発行する書類のことです。申請の締切より前に発行の受付が締め切られるので、早めに相談しておくと安心です。申請は電子申請だけで、事前にGビズIDプライム(国の電子申請で使うアカウント)の取得も必要です。
補助事業が終わったあとも手続きは続きます。実績報告書と経理の書類を出して補助金の額が確定し、請求してから入金されます。さらに、補助事業が終わってから1年後の状況を報告する書類(事業効果報告書)の提出もあります。
申請に使う見積書は、相見積もりと内訳が求められる
採択されたあと、交付決定までに、価格が妥当であることを示す見積書を出す必要があります。見積もりに複数の項目が入っている場合は、内訳を示すことが求められています。「ホームページ制作一式」だけの見積書では足りないので、項目ごとの金額が分かる見積書を制作会社に頼んでください。
また、1件の発注が50万円(税込)を超える場合は、2者以上から見積もりを取り、安い方に発注することが条件です。相見積もりは補助事業者自身が別々の会社から取ることになっており、内容が市場の価格から大きく離れている場合は対象外になります。項目ごとの内訳の目安は、見積もりシミュレーターの結果でも確かめられます。見積書の項目の読み方は、ホームページ制作の見積書の見方で詳しく書いています。
補助金ありきで作ると、公開の時期と中身が縛られる
補助金は費用の負担を軽くしてくれますが、弊社の経験では、補助金を前提にしたことで困るケースもあります。代表的なのは次の3つです。
- 公開が早くても翌年の春以降になり、開業や繁忙期に間に合わない
- 申請した計画の範囲でしか作れず、途中で内容を変えにくい
- 採択されなかったときに、制作の予定がまるごと止まる
急いで公開したい場合は、まず必要なページだけを自己資金で作って公開し、補助金ではパンフレットや追加のページなど、別の販路開拓の取り組みを組むという分け方もあります(どちらが得かは、事業の状況と公開を急ぐ理由で変わります)。
採択されなかったときの予定も決めておく
持続化補助金は審査があり、申請すれば必ず採択されるものではありません。制作会社と話を進めるときは、採択されなかった場合に「規模を縮めて自費で作る」「次の公募回を待つ」のどちらにするかを、最初に決めておくと慌てずに済みます。
士業法人は対象になるが、医師・歯科医師は対象外
持続化補助金の対象は、常時使用する従業員の数で決まる小規模事業者です。商業・サービス業は5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下が基準になります。公募要領の対象者の欄には、弁護士・税理士などの士業法人が対象として明記されています。
| 対象になりうる者 | 対象にならない者の例 |
|---|---|
| 株式会社・合同会社などの会社、士業法人(弁護士・税理士等) | 医師・歯科医師・助産師、医療法人 |
| 個人事業主(商工業者であること) | 一般社団法人・公益社団法人、社会福祉法人、学校法人、宗教法人 |
| 一定の要件を満たす特定非営利活動法人 | 申請の時点で開業していない創業予定者 |
個人で開業している士業の事務所は、「商工業者」に当たるかどうかで判断されます。対象になるかどうかは、地域の商工会・商工会議所に確認するのが確実です(業種の考え方は公募要領の別紙「参考資料」にまとめられています)。一方、クリニックや歯科医院は、医師・歯科医師・医療法人が対象外のため、この補助金は使えません。
概算を出してから、商工会・商工会議所に相談すると進めやすい
補助金を使うかどうかを決める前に、作りたいホームページがいくらくらいになるかを知っておくと、経営計画も立てやすくなります。ホームページ制作の見積もりシミュレーターなら、質問に答えるだけで概算と項目ごとの内訳がその場で出ます。最後の画面で概算見積書を印刷・PDF保存できるので、商工会・商工会議所に相談するときの資料にもお使いいただけます。
そのうえで、次の順に進めると手戻りが少なくなります。
- シミュレーターで概算と内訳を出す
- 地域の商工会・商工会議所に、補助金を使いたい旨を相談する
- GビズIDプライムを取得し、経営計画を作る
- 制作会社から、項目ごとの内訳がある見積書をもらう(50万円を超えるなら2者以上)
- 申請し、交付決定を待ってから発注する
最後に
ホームページの制作に使いやすい補助金は小規模事業者持続化補助金ですが、2026年の第20回では、ウェブサイトだけの申請はできず、ウェブサイトの部分の補助金は30万円(税込)までです。交付決定の前の発注は対象外で、申請から公開までは半年以上かかります。条件は公募の回ごとに変わるので、申請の前には必ず最新の公募要領を確かめてください。オルトベースでは、補助金の申請に使う内訳つきの見積書の作成もお手伝いしています。まずは見積もりシミュレーターで概算を出し、その内容をもとにご相談ください。

