ホームページ制作の見積書は、合計金額より先に「何ページを、誰が、どこまで作るか」が書かれているかを見ると読み解けます。同じ「コーポレートサイト一式」でも、ページ数と原稿・写真の分担が違えば、金額が2倍近く開くことは珍しくありません。この記事では、見積書によく出る項目と相場の目安、相見積もりで比べるときにそろえたい条件、安い見積もりから抜けやすい項目を、制作会社の立場から順に整理します。士業の事務所から飲食店・工務店まで、業種を問わず使える見方です。
目次
見積もりの金額は「何ページを、誰が、どこまで作るか」で決まる
制作費を左右する要素はいくつもありますが、実際に金額を大きく動かすのは3つに絞られます。作るページの数、原稿と写真を誰が用意するか、公開後に自分で更新する範囲です。デザインの好みや機能の細かな違いは、この3つが決まってからの調整になります。
ページ数がいちばん大きく効く
弊社の見積もりシミュレーターの単価では、1〜3ページのサイトの制作費は20万円前後、4〜9ページで25万円前後、10〜19ページになると45万円前後になります(いずれもスマートフォン対応込み・税別)。ページが増えると、デザインとコーディング(画面を実際に組み上げる作業)だけでなく、構成の検討や確認の手間も増えるためです。
見積もりの依頼時点でページ数が決まっていなくても問題ありませんが、その場合は制作会社が想定したページ数が見積書に書かれているかを確かめてください。想定ページ数が書かれていない見積もりは、あとから「そのページは別料金です」となりやすいものです。
参考までに、4〜9ページのサイトでよくある構成は次のとおりです。業種によって中身は変わりますが、骨組みはほぼ共通です。
| 業種 | よくある構成 |
|---|---|
| 士業の事務所 | トップ、業務案内(業務ごとに1〜3ページ)、料金、事務所概要・代表挨拶、ご相談の流れ、お問い合わせ |
| 会社(企業向けの事業) | トップ、事業・サービス、実績・事例、会社概要、採用、お問い合わせ |
| 店舗(飲食・美容など) | トップ、メニュー・料金、お店の紹介・スタッフ、アクセス、予約・お問い合わせ |
士業の事務所では、業務ごとにページを分けるかどうかでページ数が大きく変わります。相続・会社設立・顧問のように業務が分かれている場合、1ページにまとめるか業務ごとに分けるかで、見積もりが10万円以上変わることもあります。
原稿と写真の分担で10万円単位の差が出る
原稿(ページに載せる文章)をお客様が用意するか、制作会社が書くかで、見積もりは大きく変わります。原稿作成を別料金にしている会社では、1ページごとに費用が積み上がります。写真も同じで、カメラマンの撮影を入れるか、素材サイトの写真を使うかで差が出ます。
弊社では原稿の草案を無料でお作りし、撮影は1.5時間で5万円からとしています(会社によって考え方がまったく違う部分なので、見積書ではこの2つの扱いを最初に確かめるのが近道です)。
見積書によく出る項目と相場の目安
ホームページ制作の見積書には、おおむね次の項目が並びます。金額は弊社の料金と見積もりシミュレーターの単価をもとにした目安です。他社の見積もりと並べるときの物差しとしてお使いください。
| 項目 | 中身 | 目安(税別) |
|---|---|---|
| ディレクション費 | 打ち合わせ、構成の設計、進行の管理 | 3〜10万円 |
| デザイン・ページ制作 | ページ数に応じたデザインとコーディング | 1〜3ページで20万円前後、4〜9ページで25万円前後、10〜19ページで45万円前後 |
| CMS導入 | WordPressなど、自分で更新できる仕組み | 更新したいもの1種類につき2.5万円前後 |
| 原稿作成 | ページに載せる文章の作成 | 0円〜(会社によって別料金) |
| 写真撮影 | カメラマンによる撮影 | 5万円(1.5時間)〜 |
| お問い合わせフォーム | 入力欄と自動返信メール | 3万円前後 |
| 予約・決済などの機能 | 空き枠からの予約、カード決済など | 5〜15万円〜 |
| SEOの初期設計 | 狙うキーワードの選定と、それに合わせたページ設計 | 10〜20万円 |
| サーバー・ドメイン | サイトを置く場所と住所(URL) | 年1〜2万円前後 |
| 運用保守 | 更新の代行、不具合の対応、バックアップ | 月5,000円〜(頼まない選択もある) |
CMSとは、専門知識がなくても管理画面から文章や写真を差し替えられる仕組みのことです。お知らせや実績のように月に1回以上変わるものは、最初から自分で更新できる形にしておくと、公開後に制作会社へ払う費用を抑えられます。
「一式」とだけ書かれた項目は内訳を聞く
「ホームページ制作一式 50万円」のように、項目が1行にまとまった見積書もあります。それ自体が悪いわけではありませんが、何ページで、原稿と写真がどちらの担当で、修正が何回までかが分からないと、他社と比べようがありません。内訳を出してほしいと頼めば、多くの制作会社は対応してくれます。
スマートフォン対応は、今は込みが当たり前
以前は「スマートフォン対応 5万円」のように別の項目になっている見積書が多くありましたが、今はほとんどの制作会社が標準で含めています。弊社の見積もりシミュレーターに来た方で、依頼まで進んだ22件の回答を見ても、全員がスマートフォン対応を希望していました。別の項目で高い金額がついている場合は、その中身を聞いてみるとよいでしょう。
月額の項目は5年分に直して比べる
初期費用が安い代わりに、月額の費用が高い見積もりもあります。比べるときは、月額を5年分に直して足し合わせると判断しやすくなります。
| 初期費用 | 月額 | 5年間の合計 | |
|---|---|---|---|
| A社 | 30万円 | 1.2万円 | 102万円 |
| B社 | 55万円 | 0円(サーバー代は実費) | 55万円+サーバー代 |
見積書の段階では初期費用の差ばかりが目に入りますが、5年で見ると順番が入れ替わることがあります(月額に何が含まれているかで価値は変わるので、金額だけで決めないことも大切です)。
相見積もりは条件をそろえてから比べる
相見積もり(複数の会社から見積もりを取って比べること)は、発注する側の当然の権利です。弊社にも、ほかの会社と比べている段階でのご依頼が多く届きます。ただし、条件がそろっていない見積もりを並べても、安い方が得とは限りません。
ページ数と、原稿・写真の分担をそろえる
いちばん差が出やすいのはページ数と原稿・写真の扱いです。依頼するときに「ページは会社概要・サービス・実績・お問い合わせなど6ページ程度」「原稿は草案を書いてほしい」「写真は撮影したい」のように、同じ条件を全社に伝えると、見積書を横に並べて比べられるようになります。
依頼の文面は、次のようなものを全社に同じように送ると手間が省けます。
会社のホームページを新しく作りたく、お見積もりをお願いします。ページは、トップ・サービス・実績・会社概要・採用・お問い合わせの6ページ程度を考えています。原稿は草案を作っていただきたく、写真は撮影をお願いしたいです。お知らせと実績は自分で更新できる形を希望します。公開は3か月後を目安にしており、予算は60万円前後です。
修正の回数と、公開までの期間を確かめる
デザインの修正を何回まで受けるか、公開まで何か月を見ているかも、会社ごとに違います。修正回数に上限がある場合、超えた分の費用も聞いておくと安心です。一般的な規模のサイトなら、ご契約から公開まで1〜2か月が目安です。
なお、補助金を使って制作する場合は、相見積もりが申請の条件になることもあります。小規模事業者持続化補助金では、1件の発注が50万円(税込)を超えるときは2者以上から見積もりを取ることが求められています(出典 小規模事業者持続化補助金 一般型 通常枠 第20回公募要領)。補助金の条件や申請の流れは、ホームページ制作に使える補助金にまとめています。
安い見積もりに入っていないことが多いもの
見積もりの金額が他社より目立って安いときは、次の項目が含まれているかを確かめてください。弊社の経験では、安さの理由の多くはこの中にあります。
- 原稿の作成(「原稿はお客様でご用意ください」が前提になっている)
- 写真の撮影や素材の用意
- 狙うキーワードを決めたうえでのページ設計(SEOの初期設計)
- デザインの修正(回数が少ない、または有料)
- スマートフォン対応(別料金になっている)
- サーバーとドメインの名義(制作会社の名義のまま)
サーバーとドメインが制作会社の名義のままだと、制作会社を変えたいときにサイトやURLを移せないことがあります。見積もりの段階で、契約者の名義をどちらにするかを確かめておくと安心です。
士業の事務所の場合は、これに加えて士業ごとの広告の規程に沿った表現になっているかも見ておきたいところです。安さを優先したサイトで集客がうまくいかない理由は、士業が格安ホームページを選ぶと集客できない理由と適正費用の目安で詳しく書いています。
依頼の前に5つを決めておくと、見積もりが早く正確になる
見積もりを依頼する前に、次の5つを簡単にまとめておくと、制作会社とのやり取りが減り、各社の見積もりの条件もそろいます。完璧に決めておく必要はなく、「まだ決めていない」も立派な回答です。
- ホームページで実現したいこと(問い合わせを増やす、採用、会社の信用など)
- 載せたいページのおおまかな案
- 参考にしたいサイト(同業でも他業種でもよい)
- 予算の上限
- 公開したい時期
自分の場合にどのくらいの金額になるかを先に知りたいときは、ホームページ制作の見積もりシミュレーターをお使いください。質問に答えるだけで、概算と項目ごとの内訳がその場で出ます。業種を選ぶと、その業種でよく使う機能も聞かれるので、依頼の前の整理にもなります(概算見積書は印刷やPDF保存ができるので、相見積もりの比較の資料にもお使いいただけます)。
見積書を受け取ったら確かめたいチェックリスト
見積書が届いたら、金額を比べる前に次の点を確かめてください。抜けている項目は、遠慮なく制作会社に質問して大丈夫です。
- 想定しているページ数が書かれているか
- 原稿と写真をどちらが用意する前提か
- デザインの修正は何回までか
- スマートフォン対応が含まれているか
- 自分で更新できる範囲(CMS)はどこまでか
- お問い合わせフォームや予約などの機能が含まれているか
- サーバー・ドメインの費用と名義
- 公開後の月額費用と、その中身
- 公開までの期間
- 見積もりの有効期限
支払いの条件と、追加費用の決まりも確かめる
金額と同じくらい大切なのが、支払いの時期と追加費用の決まりです。着手のときに半額、公開のときに残りを払う形が多いですが、全額前払いの会社もあります。また、制作の途中でページを足したり、機能を増やしたりしたときの単価が書かれているかも見ておくと、あとで揉めにくくなります(弊社では、追加になる場合は作業の前に金額をお伝えし、ご了承いただいてから進めています)。
最後に
ホームページ制作の見積書は、合計金額ではなく、ページ数と原稿・写真の分担、公開後の月額を見ると比べやすくなります。相見積もりをするときは同じ条件を全社に伝え、安い見積もりは何が含まれていないかを確かめるのが基本です。オルトベースでは、相見積もりの段階でのご相談も歓迎しています。まずは見積もりシミュレーターで概算を出し、その内容をもとにお問い合わせください。回答をそのまま引き継いで、1〜3営業日以内に正式なお見積もりをお送りします。

