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2026.07.04

生成AI時代に士業が選ばれるためのAIO対策|内部対策・コンテンツSEO・外部施策の全体像

森井 良至
執筆者
税理士・弁護士に特化したホームページ制作会社
「株式会社オルトベース」の代表 森井 良至

「検索で1位を取っているのに、問い合わせが減っている」。士業の先生方から、こうした相談が急増しています。原因は生成AIの普及です。ユーザーはGoogleで検索する代わりにAIへ質問し、AIが直接答えるようになりました。この記事では、生成AI時代に士業事務所が選ばれるためのAIO対策の全体像を、内部対策・コンテンツSEO・外部施策の3本柱で整理します。結論を先にお伝えすると、外部施策はコントロールが難しいため、自社でコントロールできるコンテンツSEO(一次情報を盛り込んだ記事制作)に重きを置くのが、多くの士業事務所にとって現実的な最適解です。

AIO対策は「内部対策・コンテンツSEO・外部施策」の3本柱で考える

AIO(AI Overview対策、あるいはAI最適化)とは、生成AIやGoogleのAI Overview(検索結果の最上部に表示されるAIの要約回答)に自社を取り上げてもらうための施策の総称です。やるべきことは、大きく3つに整理できます。

施策 位置づけ コントロール可否
内部対策 最低限やれば十分。ただしTitleタグだけは別格 自社で可能
コンテンツSEO 一次情報の濃い記事でドメインを育てる主軸 自社で可能
外部施策 被リンク・第三者言及。効果は大きいが難しい コントロールしづらい

このうち内部対策とコンテンツSEOは自社でコントロールできます。一方で外部施策(他社サイトからの被リンクやメディア露出)は効果が大きいものの、相手があることなのでコントロールが難しく、弊社のような制作会社でも完全に代行はしきれない領域です。だからこそ、まずはコントロール可能なコンテンツSEOに軸足を置き、外部施策は並行して機会を狙う、という優先順位が現実的です。この記事全体を通じて、その理由を具体的に解説していきます。

生成AIの検索利用率は37%に達し、上位でもクリックされない時代へ

まず、いま何が起きているのかを数字で確認します。サイバーエージェントのGEOラボが2026年2月に全国9,278名を対象に実施した調査によると、「検索行動」に生成AIを使う人の割合は37.0%に達しました。2025年5月時点の21.3%から、わずか9ヶ月で15.7ポイントの上昇です(出典 サイバーエージェント GEOラボ)。

生成AIの検索利用率は全世代で37%に到達

注目すべきは世代別の内訳です。10代で66.9%、20代で50.9%と若年層が牽引していますが、士業の主要な顧客層である40代でも33.7%、50代でも29.1%と、およそ3割がすでにAI検索を使っています。「顧客層が高齢だからうちには関係ない」とは言えない水準に達しています。

1位を取ってもクリックされない状態が広がっている

検索結果の最上部にAI Overviewが表示されると、ユーザーはその要約を読んで満足し、個別のサイトをクリックしなくなります。従来は検索1位のクリック率(CTR)が30〜40%程度ありましたが、AI Overviewが表示されると3〜5%程度まで下がるという実態があります。

AI Overview表示後は検索1位でもクリック率が激減する

この傾向は複数の調査で裏付けられています。Ahrefsの大規模調査では、AI Overviewが表示されるキーワードで検索1位のCTRが約58%低下することが報告されています(出典 Ahrefs Blog)。さらにSeer Interactiveの調査では、AI Overview表示クエリのオーガニックCTRが65%低下したというデータも出ています(出典 Seer Interactive)。上位表示という従来のゴールが、そのままでは集客につながりにくくなっているのが現状です。

AIに「引用」ではなく「言及」されることが集客に直結する

アクセスが減る一方で、新しいチャンスも生まれています。「相続に強い税理士」「池袋 税理士」のように事業者を探すクエリ(比較系クエリ)で、AIはおすすめの事務所を名前で挙げて推薦するようになりました。ここで自社の名前を出してもらうこと、つまりページを「引用」されること以上に「言及(推薦)」されることが、AI時代の新しい集客ゴールになります。

弊社の実感としても、問い合わせの約20%が生成AI経由になっています。ユーザーがAIに「地域名+士業」で質問し、そこで名前が挙がった事務所に問い合わせる、という流れです。(参考までに、Googleの同じ場所に広告を出そうとすると、1クリックあたり1,000円程度かかります。AIに名前を出してもらう効果は、それに匹敵すると考えています)

AIの回答は「事前学習+RAG」で作られ、上位と第三者言及の両輪で決まる

ではどうすればAIに言及してもらえるのか。それを理解するには、AIが回答を作る仕組みを知る必要があります。ChatGPTやGeminiの回答は、事前に学習した知識と、質問に応じてリアルタイムでWebを検索するRAG(検索拡張生成、Retrieval-Augmented Generation)の組み合わせで生成されます。

AIが回答する仕組み 事前学習とRAG

事前学習データには数ヶ月から1年以上の時差があり、それ単独ではハルシネーション(もっともらしい誤情報)を起こしやすいという弱点があります。それを補うのがRAGで、RAGが重視するのは検索上位のページと、第三者から客観的に評価されている情報です。

上位でなければAIにも言及されない

ここに重要な逆説があります。AI Overviewで上位のクリックは減りましたが、そもそも検索上位にいないサイトは、RAGが参照する候補にすら入りません。つまり「上位を取ってもアクセスは増えづらいが、上位でなければAIにも言及されない」という関係です。したがって、従来通り上位を目指すSEO対策は、AI時代でも引き続き重要になります。上位表示は、AIに言及してもらうための入場券のようなものだと考えてください。

2023年以降、小さな事務所でも戦える状態になっている

もう一つ、追い風になっている変化があります。検索順位を決めるアルゴリズムが2023年頃を境に大きく変わりました。

検索順位を決めるアルゴリズムの変化

2023年頃までは、紹介・仲介サイトが資本力と物量で上位を独占していました。被リンク数やサイテーション(第三者からの言及)、圧倒的なページ数でドメインを育て、あらゆるキーワードで上位を占有していたのです。しかし2023年頃からは、ユーザーの課題を最終的に解決できない紹介・仲介系サイトの評価が下がり、事業者サイトが有利になりました。「池袋 税理士」「建設業 特化 税理士」といった比較系クエリで、専門性・特化性の高い事業者サイトが上位表示される傾向が強まっています。小さな事務所でも、専門特化すれば十分に戦える状態になっています。

内部対策は最低限でよいが、Titleタグだけは別格

ここからは具体的な打ち手に入ります。まず内部対策ですが、結論から言えば最低限で十分です。構造化マークアップ、パンくずリスト、表示速度の改善といったテクニカルな施策は「やって当たり前」のレベルで、差がつくポイントではありません。これらに時間とコストを大きく割くのは費用対効果が良くありません。

唯一の例外がTitleタグ(各ページのタイトル)です。内部施策の中で最もROIが高く、無料で即日着手できます。エリア(地名)と特色(得意業務)を盛り込む形に見直すだけで効果が出ます。

区分 Titleタグの例
見直し前 ○○税理士事務所|公式ホームページ
見直し後 池袋の税理士|相続に強い○○税理士事務所

特に重要なのがトップページのTitleです。ここでドメイン全体の主軸となるキーワードが決まります。各ページのTitleに対策キーワードを盛り込み、検索結果で切れない30文字前後に収めるのが基本です。別ドメインやサブドメインで特設サイトを量産する手法は、効果が薄れているため弊社ではおすすめしていません。

コンテンツSEOは一次情報を盛り込んだ濃い記事でドメインを育てる

3本柱の主軸となるのが、このコンテンツSEOです。検索上位を目指すための記事制作には、押さえるべき4つの条件があります。

検索上位を目指すための記事制作の4条件
  • 可能な限り一次情報を盛り込む(税務調査の立会体験、顧問先での実例、相談事例など)
  • ユーザーの悩みを解決する構成にする(結論→理由→具体例→結論のPREP法で過不足なく答える)
  • 執筆者情報を明示する(氏名・顔写真・プロフィール)
  • 3,000文字以上の濃い解説にする(薄い記事を量産してもAI評価は上がらない)

ここで強調したいのは、コンテンツSEOそのものが不要になったわけではない、という点です。価値が落ちたのは「AIが要約できる薄い一般論の解説記事」であって、一次情報を盛り込んだ濃い記事は、AIには書けない資産としてむしろ重要性を増しています。実務経験や相談事例、独自の見解は、あなたの事務所にしか書けません。月1本でも一次情報の濃い記事を出す方が、毎週薄い500字の記事を量産するより、長期的にはるかに効きます。(薄い記事の量産は、評価が上がらないどころかペナルティのリスクすらあります)

最初に「どのキーワードでAIに言及されたいか」を決める

記事を書き始める前に、狙うキーワードを決めます。業者を探す際のキーワードは、大きく2種類に分かれます。

分類 特徴
エリア系(王道) 「池袋 税理士」「横浜 税理士」 市区町村・沿線・駅名で掛け合わせる。ローカル需要を確実に捕獲できる
特色系 「相続に強い」「税務調査に強い」「建設業特化」 差別化でき、AIに選ばれやすい。需要のないワードだと検索されない

「池袋 相続 税理士」「横浜 建設業 税理士」のように、エリアと特色を掛け合わせると、競合を減らしつつAIにも選ばれやすくなります。まず「どの戦場で戦うか」を決め、そのキーワードに沿った記事を積み上げていくのが基本方針です。

お客様の声・事例・Googleビジネスプロフィールで一次情報を厚くする

記事以外にも、一次情報を発信できる場所があります。Googleは一次情報を高く評価するため、以下の3つは優先的に整えたい要素です。

  • お客様の声(理想はインタビュー形式の記事。難しければメールや紙のアンケートでも可)
  • 事例ページ(Before→Afterの数値を出し、どう解決したかの具体的なプロセスを書く)
  • Googleビジネスプロフィール(無料で必須。地図上に表示され、エリア系キーワードで地図上位を狙える)

特にGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)は、AI Overviewの影響を受けにくい集客チャネルです。事務所名で検索された際に右側に表示される情報パネルで、口コミを集めて丁寧に返信するだけでも、地図検索での表示順位に効いてきます。可能な限り顧問先に声をかけ、口コミを集めておくとよいでしょう。

外部施策は効果が大きいが、コントロールしづらいのが現実

3本柱の最後が外部施策です。他社サイトや業界メディアから被リンク(リンクを貼ってもらうこと)や言及を集めることで、AIが「客観的に評価されている事業者だ」と判断する材料になります。自社サイトでいくら発信しても、それは主観的な自己PRに過ぎません。第三者から言及されて初めて、AIは客観的な評価対象として扱います。

被リンク 他社からの言及を集める手段
手段 概要 効果
記事寄稿・監修 MoneyForward・freee・KaikeiZineなどの業界メディアに寄稿・監修する
紹介・マッチングサイト 税理士ドットコム・比較ビズ・ミツモアなどに掲載する
士業横連携のリンク 提携している弁護士・社労士・行政書士のHPからリンクをもらう

「池袋 税理士」のような比較クエリでは、税理士ドットコムや比較ビズ、freee税理士検索などがAIに引用されやすいため、これらに掲載されるとAIでの言及率が上がります。ただし外部施策には難しさがあります。相手があることなので、自社の努力だけではコントロールできません。本来は自然な形で被リンクが付くのが理想ですが、何もせずに自然発生を待つのは現実的ではありません。能動的に動ける手段としては、業界メディアへの寄稿・監修が最も効率的です。(被リンクは対策キーワードを含む自然な形が理想です。相互リンクは建前上禁止されており、海外サイト経由の被リンク購入はペナルティのリスクが高いので避けてください)

結論はコントロールできるコンテンツSEOに重きを置くこと

ここまで3本柱を見てきました。改めて整理すると、AIに言及してもらうには「検索上位+第三者言及」の両輪が必要で、そのために内部対策・コンテンツSEO・外部施策の3つを回していくことになります。

ただし現実的な優先順位を考えると、答えははっきりしています。内部対策はTitleタグを除けば最低限で十分。外部施策は効果こそ大きいものの、相手があるためコントロールが難しく、弊社でも代行しきれない領域です。唯一、自社の努力で確実に積み上げられるのがコンテンツSEOです。一次情報を盛り込んだ濃い記事を、月1〜2本のペースで継続的に発信する。これがドメイン全体の評価を高め、AIに言及される土台になります。

まずはコントロール可能なコンテンツSEOに軸足を置き、Titleタグの最適化とGoogleビジネスプロフィールの整備を済ませたうえで、寄稿・監修といった外部施策の機会を並行して狙う。この順序が、リソースの限られた士業事務所にとって最も現実的な進め方だと考えています。

作った記事はnote・SNSへ横展開できると理想的

コンテンツSEOで作った濃い記事は、それ自体が資産です。余裕があれば、この資産を他チャネルへ横展開すると、さらに効果が高まります。

  • note(記事の要約版を投稿。SEO経由とnote内からの流入が見込める)
  • X(記事のポイントを細切れで投稿し、サイテーションを獲得する)
  • YouTube(記事を解説動画化する。長期的に資産として蓄積される)
  • Podcast・音声(通勤時間に聞かれ、濃いファンが付きやすい)

ただし、士業の先生がこれら全てを継続するのは、本業との両立を考えると現実的に相当難しいのが正直なところです。多チャネル発信は「やった方がベター」程度に捉え、リソースに余裕がある事務所だけが着手を検討すればよい領域です。まずはHPの濃い記事に集中するのが、現実的な進め方だと考えています。

やってはいけないことと、優先度が低いこと

最後に、避けるべき施策と後回しでよい施策を整理します。まず、やってはいけないことです。

  • AI生成記事をノールック(チェックせず)で量産・公開する(AIは見出しの草案作成程度に留める)
  • 不自然な相互リンクや被リンクの購入(ガイドライン違反。海外サイト経由は特に危険)
  • キーワードの詰め込み(不自然な日本語は逆にマイナス評価になる)
  • 執筆者不明・匿名の記事(法律・税務のようなYMYL分野では致命的)
  • 口コミの自作自演・依頼操作(規約違反で発覚リスクが大きい)

次に、アクセスが集まるまでは優先度を下げてよい施策です。

  • テクニカルな施策全般(構造化マークアップ・カノニカル・パンくず・noindex設定など)
  • 表示スピード・LCP改善(問い合わせ率の面では重要だが、SEOでは重要度が低い)
  • 記事のリライト(新規記事の作成を優先。リライトはアクセスが増えた段階で)
  • デザインの見直し・問い合わせ率改善(そもそもアクセスがない段階では効果が薄い)
  • アクセス解析(アクセスが増えるまでは、分析より情報発信を優先)

SEOの効果は、施策を始めてから5〜6ヶ月目以降に出始めます。すぐに結果が出ないからと途中でやめてしまうのが、最も避けたい失敗です。焦らず継続することが成果への近道です。

最後に

生成AIの登場で「1位を取れば集客できる」という時代は終わりました。しかし、これは士業のSEOが無意味になったということではありません。上位でなければAIにも言及されない以上、上位を目指すSEOは引き続き重要で、そのうえでAIに名前を出してもらうことが新しいゴールになります。

そのために必要なのは、内部対策・コンテンツSEO・外部施策の3本柱を回すこと。とりわけ、自社でコントロールできるコンテンツSEO(一次情報を盛り込んだ濃い記事)に重きを置くことが、小さな事務所が確実に前進するための現実解です。専門性・実態・一次情報という、AIには書けない価値を発信し続けた事務所が、生成AI時代に選ばれる事務所になります。

弊社は士業に特化したホームページ制作会社として、AIO時代に対応したSEO戦略の立案から、記事制作の指導、Googleビジネスプロフィールの整備まで、Web集客を総合的にサポートしています。「どのキーワードで戦うべきか」「何から手をつけるべきか」といったご相談から、まずはお気軽にお問い合わせください。

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