行政書士のリスティング広告は、税理士や弁護士以上に「分野ごとに別物」として設計する必要があります。建設業許可などの許認可、在留資格(ビザ)、相続・遺言、会社設立では、顧客層も報酬単価も商圏も競合も全く違うためです。1つのアカウントで全業務をまとめて配信すると、予算が分散して成果が出ません。本記事では、行政書士が広告で成果を出すための分野別の考え方を、弊社の運用経験をもとに解説します。
目次
行政書士のリスティング広告は分野ごとに別物として設計する
行政書士の広告で最初に決めるべきは「どの分野で集客するか」です。行政書士の取り扱える業務は1万種類を超えるとも言われ、許認可・入管(在留資格)・相続・会社設立・自動車登録などで、顧客の探し方も予算感も全く異なります。税理士の「顧問契約」のように単一の主力商材があるわけではないため、税理士版のリスティング戦略をそのまま流用しても噛み合いません。
そのうえで、リスティング広告(検索連動型広告、ユーザーが検索したキーワードに連動して表示される広告)の基本的な仕組みや費用形態は税理士と共通します。広告の土台となる考え方は、税理士向けに解説した下記記事も参考になります。
行政書士の業務は「単発・都度受任」が多くLTVを読みにくい
税理士の主力である顧問契約は、一度受任すれば毎月の顧問料が継続して入ります。つまり1件のお問い合わせ(CV)が将来にわたって大きな売上を生むため、多少高いCPAでも回収できます。
CPAとは?
Cost Per Action(またはAcquisition)の略で、1件のCV(お問い合わせや面談予約などの成果行動)を獲得するためにかかった広告費のことです。CPAが3万円なら、1件のお問い合わせを得るのに3万円の広告費を使った計算になります。
一方、行政書士の業務の多くは「建設業許可を1件取得して報酬を受け取り、そこで一旦完結する」という単発・都度受任型です。継続収益(LTV、顧客生涯価値)が読みにくいぶん、広告費をかけすぎるとその案件単体で赤字になりかねません。そのため、行政書士の広告では「1件の受任でいくらの報酬になるか」を分野ごとに把握したうえで、許容できるCPAを逆算する作業が税理士以上に重要になります。(更新業務や追加申請でリピートが見込める許認可分野は、この限りではありません)
注力する分野を1〜2個に絞ってから配信する
行政書士は対応できる業務が広いぶん、つい「許認可も相続もビザも全部やります」と総合事務所として打ち出したくなります。しかし広告では、これが最も成果の出ない型です。月10万円程度の予算を5分野に分散させると、どの分野も中途半端なクリック数しか集まらず、効果検証すらできません。
弊社の経験では、まず自事務所の得意分野や報酬単価の高い分野を1〜2個に絞り、その分野に予算を集中させた方が結果が出ます。広告で手応えを掴んでから、横展開で分野を増やしていくのが現実的な進め方です。
リスティング広告は検索連動型がメイン、ディスプレイは補助
リスティング広告は大きく「検索連動型広告」と「ディスプレイ広告」に分かれます。行政書士の場合、基本は検索連動型広告をメインに据えるのがお勧めです。
顕在層を獲れる検索連動型広告を主軸にする
検索連動型広告は、指定したキーワードで検索したユーザーに対して、GoogleやYahooの検索結果上部に表示される広告です。「建設業許可 行政書士」「配偶者ビザ 申請」のように、まさに今その手続きで困っている顕在層に直接アプローチできるため、少額予算でも成果が見込めます。クリックされて初めて費用が発生し、その単価は競合とのオークションで決まります。
- 指定したキーワードで検索した見込み客に直接訴求できる
- 地域・デバイス・時間帯を細かく指定して配信できる
- 少額(月5万円程度)から始められ、いつでも停止・再開できる
- テキスト主体のため、画像での訴求力では劣る
ディスプレイ広告は在留資格や相続で補助的に使う
ディスプレイ広告は、バナー画像やテキストをさまざまなWebサイト上に表示する広告で、認知度向上やリマーケティング(一度自社サイトを訪れたユーザーを追跡して再訪を促す配信)に向きます。行政書士の通常業務では優先度は高くありませんが、在留資格や相続のように検討期間が長く、比較されやすい分野では、一度サイトに来た見込み客へのリマーケティングが有効に働く場合があります。
ただしディスプレイ広告は一定の予算がないと結果が見えにくく、効果測定も難しくなります。まずは検索連動型で成果の出る型を作り、余力があればディスプレイを足す順番がベターです。
分野ごとに顧客層・単価・商圏・競合が全く違う
行政書士の広告設計の核心は、分野ごとの「顧客の違い」を理解することにあります。下表は主要分野の特性を整理したものです(報酬単価や競合度は弊社が運用・相談を通じて見てきた範囲での目安です)。
| 分野 | 主な顧客 | 報酬単価の目安 | 商圏 | 紹介会社・競合 | 広告適性 |
|---|---|---|---|---|---|
| 許認可(建設業ほか) | 事業者(法人) | 10〜20万円+更新 | 都道府県+近県 | 少なめ | ◎ |
| 在留資格・ビザ | 外国人本人・雇用企業 | 5〜20万円 | 全国も可能 | 専門事務所が多い | ○ |
| 相続・遺言 | 高齢層・その家族 | 数万〜数十万円 | 地域密着 | 弁護士・司法書士・銀行 | △〜○ |
| 会社設立 | 起業者 | 数万円(顧問なし) | 地域〜全国 | 税理士・クラウド系 | △ |
| 自動車登録・車庫証明 | ディーラー・個人 | 数千〜1万円 | 狭域 | 少ない | △ |
| 補助金・助成金 | 事業者 | 成功報酬10〜15% | 全国も可能 | コンサル系 | ○ |
このように、同じ「行政書士の広告」でも、許認可はB2Bで商圏が地域に限られる一方、在留資格は個人向けで全国対応もできるなど、設計思想が真逆になります。以下、分野ごとに具体的なポイントを見ていきます。
許認可業務は地域×業種で地道に獲得する
建設業許可・産業廃棄物収集運搬業許可・古物商許可・宅建業免許・運送業許可・飲食店営業許可・酒類販売業免許など、いわゆる許認可業務は、行政書士のリスティング広告と最も相性が良い分野です。理由は、顧客が事業者(法人)で報酬単価が比較的高く、税理士業界のような紹介会社の出稿が少ないためクリック単価が高騰しにくいことにあります。
「許認可名+地域」で顕在層を確実に獲る
許認可を必要とする事業者は、目的が明確な状態で検索します。「建設業許可 ○○県」「産廃 許可 行政書士」「古物商 許可 申請 代行」といった、許認可名と地域・行政書士を掛け合わせたキーワードは検討度合いが高く、受任に直結しやすいキーワードです。
許認可ごとに顧客も検索語も異なるため、キャンペーン(広告の管理単位)は許認可の種類ごとに分けるのが基本です。建設業許可と古物商許可では予算感も訴求文も違うため、まとめて運用すると最適化が効きません。
更新・追加申請でLTVを見込める数少ない分野
許認可業務が広告に向く大きな理由が、リピートの存在です。建設業許可は5年ごとの更新があり、毎年の決算変更届(事業年度終了届)も必要です。さらに業務拡大に伴う業種追加や、経営事項審査(公共工事の入札参加に必要な審査)など、一度受任すれば継続的に関与できる余地があります。
つまり、単発で完結しがちな行政書士業務の中では珍しく、LTVを見込める分野です。初回受任のCPAが多少高くても、更新や追加業務で十分に回収できる計算になるため、許認可は広告予算を厚めに配分しやすいと考えています。
競合の薄いニッチな許認可に狙いを定める
建設業許可は行政書士の主力業務であるぶん、地域によっては競合も多くなります。そこで、自事務所が対応できる範囲で、相対的に競合の少ない許認可を見つけて狙うのも有効な戦略です。
許認可は申請先官庁や要件が頻繁に変わります。広告のランディングページ(広告のリンク先ページ)に古い要件を載せたままにすると、信頼を損なうだけでなく、誤った情報提供と受け取られかねません。要件を扱うページは定期的な更新を前提に運用してください。
在留資格・ビザ業務は全国配信と多言語対応がカギ
在留資格(いわゆるビザ、外国人が日本に滞在するための法的資格)の業務は、行政書士の広告分野の中でも特殊です。最大の特徴は、商圏を地域に縛られない点にあります。在留外国人数は2024年末時点で376万8,977人と過去最高を更新しており(出典 出入国在留管理庁「令和6年末現在における在留外国人数について」)、市場そのものが拡大を続けている分野です。
商圏を全国に広げられる数少ない分野
入管(出入国在留管理局)への申請は、申請取次の資格を持つ行政書士であれば、オンライン申請や郵送、本人とのオンライン面談で対応できるケースが多く、必ずしも対面を必要としません。
申請取次とは?
所定の研修を修了し届出をした行政書士が、外国人本人に代わって入管へ在留資格関連の申請書類を提出できる資格のことです。これにより本人が入管へ出頭する必要がなくなります。
そのため、許認可や相続のように「○○市」と地域を絞らず、全国を対象に配信できる点が在留資格分野の強みです。地域に縛られないぶん、専門特化した事務所が全国の需要を取り込みやすく、ここで上位を獲れれば大きな集客につながります。(そのぶん全国の専門事務所と競合するため、訴求の差別化は欠かせません)
ビザ種別ごとに単価も難易度も大きく違う
在留資格と一口に言っても、種別によって顧客も報酬単価も全く異なります。広告ではビザ種別ごとにキャンペーンを分け、訴求とランディングページを最適化するのが基本です。
| ビザ種別 | 主な顧客 | 特徴 |
|---|---|---|
| 配偶者ビザ(国際結婚) | 日本人配偶者・外国人本人 | 個人向けで検索需要が安定。偽装結婚審査の知見が差別化になる |
| 就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など) | 雇用する企業・本人 | 企業向け。継続的な顧問契約につながる可能性もある |
| 経営・管理ビザ | 外国人起業家 | 単価が高く専門性も要するため、競合が比較的少ない |
| 永住申請・帰化申請 | 長期滞在の外国人本人 | 個人向けで需要が大きい。帰化は法務局管轄で業務範囲に注意 |
就労ビザや経営管理ビザは企業が顧客となるため単価が高く、継続関与の余地もあります。一方、配偶者ビザや永住申請は個人向けで件数は多いものの単価は抑えめです。どこを主戦場にするかで、配信設計が変わってきます。
個人向けはスマホ・多言語対応を前提に設計する
配偶者ビザや永住申請など個人が顧客となる業務では、スマートフォンからの検索・問い合わせが中心になります。許認可業務がパソコン中心なのとは対照的で、同じ行政書士の広告でも配信デバイスの考え方が逆転します。
さらに、申請者本人が外国人である場合、日本語が母語でないことも多くあります。ランディングページをやさしい日本語にする、英語や中国語など主要言語のページを用意する、問い合わせフォームを簡素にするといった配慮が、そのままCVR(問い合わせ率)に直結します。(対応できる言語を訴求文に入れるだけでも反応が変わる印象です)
相続・遺言業務はスマホ中心の高齢層を意識する
相続・遺言業務は、顧客が高齢層やその家族(B2C)で、地域密着型の集客が基本になります。安心して任せたいというニーズが強く、事務所の所在地や対面のしやすさが重視されるため、商圏は自事務所の近隣に絞るのが基本です。
地域名キーワードとスマホ配信が基本
相続を考える層は「相続 行政書士 ○○市」「遺言書 作成 ○○」のように、地域名を含めて検索する傾向が強くなります。高齢層やその家族はスマートフォンでの検索・電話問い合わせが多いため、スマホ配信を切らずに、電話番号を目立たせたランディングページを用意するのが効果的です。
隣接士業との業務範囲に注意して訴求する
相続分野は、弁護士・司法書士・税理士・信託銀行までもが広告を出稿する激戦区です。クリック単価も高騰しやすく、行政書士にとっては費用対効果の見極めが難しい分野でもあります。
相続業務では業務範囲の線引きに注意が必要です。相続人間で争いのある案件の代理交渉は弁護士、不動産の相続登記は司法書士、相続税申告は税理士の業務です。行政書士が広告で「相続のすべてに対応」と読める訴求をすると、業務範囲を逸脱した期待を持たれるリスクがあります。遺産分割協議書の作成や戸籍収集、自動車・預貯金の名義変更など、行政書士が担える範囲を明確にしたうえで訴求するのがベターです。
弊社の考えでは、相続分野で広告を打つなら、他士業と連携できる体制(紛争は弁護士、登記は司法書士へつなぐ窓口機能)を訴求材料にすると、激戦区でも差別化しやすくなります。
会社設立・補助金は差別化と回収設計が前提
会社設立と補助金は、いずれも需要は大きいものの、行政書士の広告分野としては設計に工夫が要る領域です。
会社設立単体は価格競争に巻き込まれやすい
会社設立は、税理士(顧問契約とセットで設立費用を無料化するケースが多い)や、freee・マネーフォワードなどのクラウド系サービスが強力な競合となります。税理士は顧問料で回収できるため設立報酬をゼロ円に近づけられますが、顧問契約を主力としない行政書士は同じ土俵で価格勝負をすると分が悪くなります。
そのため、会社設立を広告で狙うなら、単なる設立代行ではなく「許認可が必要な業種の会社設立に強い」「外国人の経営管理ビザと会社設立をセットで対応」といった、行政書士ならではの掛け合わせで差別化するのが現実的です。差別化の考え方は下記記事も参考になります。
補助金は成功報酬で広告費を回収する設計にする
補助金・助成金のサポート業務は、着手金に加えて採択時の成功報酬(採択額の10〜15%程度)を得る報酬体系が一般的です。1件あたりの報酬が大きくなりうるため、CPAを高めに設定しても回収できる余地があります。
ただし補助金は公募期間に需要が集中し、採択されなければ成功報酬が発生しないという特性があります。広告予算を公募スケジュールに合わせて機動的に調整する運用が前提となるため、通年で一定額を流し続ける運用とは設計が異なります。
キーワードは分野×地域×熱感で組み立てる
キーワード選定の基本は税理士と共通で、ユーザーの熱感(検討度合い)を意識して組み立てます。行政書士の場合は、ここに「分野」という軸が加わるのが特徴です。
事務所名・指名キーワード【熱感 高】
自事務所名での検索は、すでに自社サイトが上位表示されているケースが多く、開業初期は検索数も少ないため優先度は高くありません。ただし、認知度が上がって指名検索が増えてきた段階や、競合の広告が自事務所名の検索結果に表示されている場合は、機会損失を防ぐために出稿しておくとベターです。
分野×地域の掛け合わせキーワード【熱感 高】
行政書士の広告で主軸となるのが、分野(許認可名・業務名)と地域を掛け合わせたキーワードです。「建設業許可 横浜」「相続 行政書士 名古屋」「車庫証明 ○○区」など、商圏内の地域名と業務を組み合わせることで、受任確度の高い顕在層を捕捉できます。許認可・相続・自動車登録のように商圏が地域に限られる分野では、この型が基本になります。
在留資格は地域を外す判断もある【熱感 高】
前述のとおり、在留資格分野は全国対応が可能です。「配偶者ビザ 行政書士」「永住申請 代行」のように、あえて地域名を外して全国配信する選択肢があるのは、他分野にはない在留資格ならではの特徴です。ただし全国配信はクリック数が多くなりやすいため、予算管理と除外キーワードの設定をセットで行う必要があります。
単体・情報収集キーワードは基本的に避ける【熱感 低】
「行政書士」「在留資格」「相続」といった単体キーワードは、用語の意味を調べる目的の検索が多く、受任につながりにくいため基本的に避けるのが無難です。これらは検索数こそ多いものの、全国配信すると大量のクリックで予算を消耗します。どうしても使う場合は、配信地域を特定の市区町村に絞り込むのが前提となります。
| 熱感 | キーワード例 | 解説 |
|---|---|---|
| 高い | 建設業許可 ○○県、配偶者ビザ 行政書士、相続 行政書士 ○○市、古物商 許可 代行 | 具体的な手続きを依頼しようとしており、受任確度が高い |
| 普通 | 会社設立 流れ、外国人 雇用 手続き、遺言 書き方 | 手続きを検討中。後から専門家に依頼する可能性がある |
| 低い | 行政書士 とは、在留資格 種類、相続 期限 | 用語や制度を調べる目的が中心で、検討度合いは低い |
マッチタイプは分野の競合度で使い分ける
キーワードを登録する際は、どの範囲まで広告を表示させるかを示すマッチタイプを選びます。完全一致・フレーズ一致・部分一致の3種類があり、広く取るほど表示機会は増えますが、無関係な検索にも表示されて予算を浪費するリスクが高まります。
| マッチタイプ | 表示されるキーワード例 | 解説 |
|---|---|---|
| 完全一致 | 建設業許可 行政書士、建設業 許可 申請 | 登録語とその類義語に絞られる。無駄打ちが少ない |
| フレーズ一致 | 建設業許可 行政書士 横浜、建設業 許可 費用 | 登録語を含む検索に表示。意図を保ちつつ幅を取れる |
| 部分一致 | 建設業 開業、許認可 相談、産廃 許可 | 関連語まで広く表示。除外設定をしないと浪費しやすい |
競合が少なくクリック単価の落ち着いている許認可分野は、フレーズ一致を中心に幅を取る運用がしやすい一方、相続のようにクリック単価が高く競合の多い分野では、完全一致中心で無駄打ちを抑える設計がベターです。
CPAと配信設定は分野ごとに別管理する
行政書士の広告で最も重要なのが、CPAを分野ごとに分けて管理することです。分野によって1件あたりの報酬も、CVから受任に至る確率も全く違うため、アカウント全体で平均CPAを見ても判断を誤ります。
CVから受任への確率は分野で大きく変わる
士業全般で、お問い合わせから契約に至る確率は1割程度という印象がありますが、行政書士の場合は分野でこの数字が大きくぶれます。「建設業許可を取りたい」という明確な目的で問い合わせてくる許認可分野は、CVがそのまま受任に近い確度を持ちます。一方、相続や会社設立は相見積もりや情報収集目的の問い合わせも混じるため、受任率は下がりがちです。
下表は分野別のCPAの考え方を整理したものです(あくまで弊社が見てきた範囲の目安で、地域や訴求内容で大きく変動します)。
| 分野 | 報酬単価 | CVの質 | CPAの考え方 |
|---|---|---|---|
| 許認可(建設業ほか) | 高め+更新 | 受任に近い | 更新を含めればCPAは高めでも回収しやすい |
| 在留資格・ビザ | 中〜高 | 種別で差 | 就労・経営管理は高CPA許容、永住・配偶者は抑えめに |
| 相続・遺言 | 中 | 相見積もり混在 | 競合が多くクリック単価が高い。CPA管理は厳しめに |
| 会社設立 | 低(顧問なし) | 価格比較が多い | 単価が低く、CPAを抑えないと赤字になりやすい |
配信地域は分野で切り替える
配信地域は分野によって設計を変えます。許認可・相続・自動車登録は商圏が地域に限られるため、自事務所の所在地と近隣の市区町村に絞り込みます。首都圏など人口の多いエリアでは、都道府県単位だとクリックが膨大になるため、市区町村単位まで絞るのが基本です。在留資格や補助金など全国対応できる分野は、あえて地域を広げる判断もできます。
デバイス・入札戦略も分野に合わせる
デバイスも分野で考え方が分かれます。許認可や就労ビザなど法人・事業者が顧客の業務はパソコンからの検索が中心になりやすく、相続や配偶者ビザ・永住申請など個人が顧客の業務はスマートフォン中心になります。一律に配信せず、分野の顧客像に合わせてデバイスごとの入札を調整するのが効果的です。
入札戦略は「手動入札」と「自動入札」がありますが、弊社では予算が少額(月30万円以下)の場合は手動入札を基本に考えています。自動入札はGoogleのAIに運用を任せられる反面、十分なCV数が貯まらないと学習が進まず、少額予算ではCPAが高止まりしやすいためです。ある程度の予算とCV数が確保できる分野に限って、自動入札を検討するのが現実的です。(士業の少額運用を前提とした見解で、業種や予算規模が変われば判断は変わります)
運用代行は月予算と費用対効果で判断する
広告運用を代理店やホームページ制作会社に任せるか、自社で運用するかは、月の予算規模で判断するのが現実的です。個人の行政書士事務所では、広告にかけられる予算は月10万円前後というケースが多いのではないでしょうか。
月額予算が10万円以下だと、そもそも代理店が受けてくれないことがあります。受けてもらえても、毎月の広告費から手数料として15〜30%が差し引かれるため、少額予算では費用対効果が合わなくなりがちです。手数料を払ったうえで成果も出ないという二重の負担になりかねません。
弊社では、初期のアカウント構築費のみをいただき、運用開始後はスポットでご相談いただける形のプランをご用意しています。なお、すぐに案件が欲しい場合は広告も選択肢になりますが、長期的にはユーザーの役に立つ記事を積み上げるSEO(検索エンジン最適化)の方が、費用対効果の面で本命だと考えています。少額予算での広告の進め方は下記記事も参考になります。
最後に
行政書士のリスティング広告は、税理士や弁護士以上に「分野ごとに別物」として設計することが成否を分けます。許認可は地域×業種で堅実に、在留資格は全国配信と多言語対応で、相続はスマホと地域名で高齢層に、会社設立は差別化と回収設計で、というように、顧客も単価も商圏も全く違う前提で組み立てる必要があります。まずは自事務所の得意分野を1〜2個に絞り、その分野でCPAが合う型を作ってから横展開するのが、限られた予算で成果を出す現実的な進め方です。広告の設計や、SEOと組み合わせた集客全体の戦略でお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。



