弊社ではホームページ制作を提案する際に、9割以上のお客様にWordpress(以後、ワードプレス)での制作を提案しております。ここ最近は知名度が上がってきた印象ですが、毎回ワードプレスの説明をするのは結構大変です…。そこで「ワードプレスってこういう物だよ」というのを、法人企業の発注者担当者または経営者に向けて、この記事でわかりやすく解説していこうと思います。
目次
ワードプレスって何?
ワードプレスを一言で強引に説明するのであれば「簡単に更新(修正・追加)ができるようになるホームページ」です。
ワードプレスを理解するには「CMS」という言葉を理解する必要があります。ワードプレスとは色々な種類がある「CMS」の一つで「無料で利用できる」「テーマやプラグインが充実」「シェアが圧倒的No.1」という点から、人気を集めています。
「CMS」はコンテンツマネジメントシステムの意味を表すのですが、私がいつもお客様に説明する際、アメブロやライブドアブログを引き合いに説明をします。そもそもホームページは(基本的に)HTMLとCSSの2言語で記述され、Webサーバへアップすることにより、Webブラウザ(EdgeやChrome等)で表示されるようになります。
従来、ホームページを更新しようと思うと、WebサーバーにアップしたHTMLファイルの原稿を変更したり、コーディング(HTMLやCSSの記述)が必要となり、知識が全くない状態だと、骨の折れる作業でした。そういった骨の折れる作業を簡単にするため、Dreamweaverやホームページビルダーといったソフトがあり、2010年頃まではそれらのソフトを使って更新するのが一般的でした。
上記がDreamweaverで実際に変更する場合のスクショなのですが、見てもらってわかる通り、全く知識がなくても「簡単に変更できる」とは言いづらいです…。
しかしながら2010年以降、WordPress(ワードプレス)やMovable Type(ムーバブルタイプ)といった無料のCMSが少しずつ浸透するようになりました。CMSを導入する最大のメリットは、ブログサービスのように、Webブラウザ上の管理画面から、既存のページの変更やページの追加ができるようになります。
今までは、ページの変更や追加をしたい場合、自分でサーバにアクセスするソフト(FTP)をインストールした上で、上述したようにホームページビルダーなどのソフトを導入した上で、HTMLファイルを変更する、という方法か、制作会社に依頼する、という方法がありました。
制作会社に依頼する場合は、運用保守契約を結んでいる場合、その保守契約内で対応をしてもらうことになり、保守契約を結んでいない場合は都度見積もりとなり、コストがかかるし手間がかかる、という問題がありました(保守契約を結んでいる場合は月額費用が発生)
しかし、ワードプレスの登場により、お客様側でホームページの更新ができるようになり、制作会社と運用保守契約を結ぶ必要性が薄くなりました。結果的に納品後、制作会社に支払う費用を抑えることができます。
CMSとワードプレスとデータベースの関係性
部屋とYシャツと私、みたいになりましたが、上記3つの説明をしたいと思います。いきなりデータベースという言葉が出てきましたが、そんなに難しくはありませんので、安心してください。
ここまでを整理すると、ワードプレスはCSMの一つで、CMSは簡単にページ更新ができる、ということです。もっと正しく内容を理解するには、なぜCMSは簡単にページ更新ができるのか、を知る必要があります。
昔の(一般的な)ホームページを例に挙げてみます。昔のホームページでは、HTMLファイルに、「ホームページをリニューアルしました」「夏季休暇は○日から○日までです」といったように、直接、日本語(原稿)を書き込んでいました。
しかし、この方法だと上述したように、変更する際にHTMLファイルを開いたり、HTMLタグを変更したりと、知識がないと取り扱いが難しい、という問題がありました。
そこで、日本語の原稿と、HTMLを完全に切り離して考えよう、というのがCMSです。HTMLは従来通りサーバにアップして、HTMLの中身にある原稿を、データベースに保存して、そのデータベースに保存したデータを見やすい管理画面から自由に追加/編集できる仕組みが、CMS(コンテンツマネジメントシステム)です。そのCMSのなかでシェアNo.1がワードプレスとなります。
以下、従来のホームページと、ワードプレスを導入したホームページを図で比べました。
ワードプレスなどのCMSで作成した情報というのは全てサーバー上のデータベースに登録されます。そのためCMSはデータベースとセットで必ず必要になります。
弊社ではワードプレスでのホームページ制作を常に提案しておりますが、お客様側のサーバーにデータベースが入れられなかったり、ワードプレスを動かしているPHPの言語が動作しない場合は、ワードプレスでホームページを制作できません。(その場合はワードプレスを入れずにフルスクラッチで制作しております)
ワードプレスの実際の画面と操作の流れ
弊社のテスト環境例に実際の操作イメージをまとめました。
新規追加する際のワードプレスの管理画面の操作イメージ
ブログページの記事を1ページ追加する場合の操作の流れです。
既存ページの原稿を変更する際のワードプレスの管理画面の操作イメージ
代表者名を私の名前から山田太郎に変更する場合の操作の流れです。
私はもう10年近く、ワードプレスを触り続けているので、今では全く何も感情がないのですが、初めて触ったときは操作性の良さとカスタム性の高さに驚いていました。
ワードプレスの機能例
ワードプレスには標準で様々な機能が用意されており、さらにプラグイン(アプリのようなもの)を追加すれば、できないことはないのでは?と思うくらい、何でもできます。
機能を挙げるときりがないので、重要そうな機能を箇条書きで紹介します。
ページ投稿機能
既に操作イメージのアニメーションでどんな感じなのかは伝わったと思いますが、ブログサービスのようにページの投稿や編集が簡単にできます。文章だけでなく、テーブルやフォントの色・サイズ変更、画像の挿入なども1クリックで可能。予約投稿機能や下書き機能、カテゴリやタグの設定なども可能です。
ユーザ管理機能
ユーザを管理するための機能が標準で備わっています。「担当やライターがページ追加や記事作成をして、上長がページのチェックと公開手配をしたい」「担当者には投稿ページ以外を触らせたくないので権限設定をしたい」といったことが簡単に設定できます。
お問い合わせフォームの機能
従来、お問い合わせフォームを作成しようとすると、入力項目の受け渡し、必須・任意項目のチェック、メールアドレスや電話番号の形式チェック、送信完了後のサンクスメールと管理者宛のメールといったように、多大な開発コストがかかっていましたが、ワードプレスではお問い合わせフォームのプラグインを導入するだけで、簡単に実装できます。(簡単に、というのは制作会社側の視点ですが、制作会社側が楽になる=工数が減る=費用が安くなる、となるのでお客様側にメリットがあります)
その他
重要な3つを挙げましたが、それ以外にもSEOの設定が楽、多言語対応が楽、サブドメインのサイト管理が楽、といったように、プラグインを活用すると、本当に何でも簡単に実現できます。
ワードプレスのメリット
ワードプレスは無料で導入でき、誰でも簡単にページが更新できるようになり、運用コストが押されられることが最大のメリットですが、それ以外にもメリットがあります。
制作費用が安くなる可能性が高い
ワードプレスのあるホームページと、ないホームページの違いを説明し、お客様側にとってメリットがあることを説明しましたが、制作会社側にもメリットがあります。
ワードプレスでの見積もりは制作会社にもよって異なりますが、通常のフルスクラッチの制作(CMSを導入せずに制作)よりも、費用が安くなる可能性が高いです。特に色んな機能を開発する場合は、プラグインで簡単に対応できるため、フルスクラッチで0から開発するのに比べて、費用を抑えることができます。
またデザインにこだわらないのであれば、テンプレートデザイン(既に完成したデザインでテーマとも呼ぶ)を当て込むことにより、一瞬でオシャレなホームページを作ることもできます。
拡張性と柔軟性が高い
世界で一番使われているCMSということもあり、色んな機能をプラグインで追加できます。弊社が良く使うプラグインは、パンくず機能、記事の目次機能、SNS連携機能(投稿時に各種SNSへ自動投稿)、画像圧縮とリサイズ機能、SEO設定機能、リダイレクト機能などです。
ちょっと良くわからない、と言う方も多いと思いますが、ホームページを運営していくなかで、こんな機能があればもっと楽なのに…というシーンが多々あります。そしてそんな問題は大抵プラグインを調べれば、既に存在し、基本的に無料で利用できます。
シェアがNo.1なので運用しやすい
シェアがNo.1なので運用しやすい、というのは世界中で人気なので、何か問題にぶち当たっても、検索すれば大抵のことが解決します。
またホームページ制作界隈でワードプレスを触ったことがない人間はほぼいないので、A社にワードプレスを導入したホームページ制作を作ってもらい、数年後にB社にリニューアルする場合でも、特に引継ぎで問題が起きづらいです。(プラグインを独自開発しているケースは大変ですが)
例えばECサイト(ネットショップ)を例に挙げると、有名なCMSにEC-CUBEがありますが、制作会社で特に小さい会社は触ったことがない会社も多いと思われます。そんな風に、シェアが低いとプロでも対応できる会社が限られる、という状況に陥りますが、ワードプレスに関してはその問題を懸念する必要がありません。
ワードプレスのデメリット
セキュリティリスクがある
個人の人は気にする必要がないかもですが、この記事は法人企業向けに書いているので、大きい会社であれば、ここが一番重要かと思います。
ワードプレスは世界中で広く使われているため、ハッキング被害に遭いやすい特徴があります。ワードプレスへのログイン情報が流出した場合、セキュリティ対策をしていない状態だと、第三者がどこからでもログイン可能となり、Webページが勝手に書き換えられる可能性があります。
そういったリスクに対策するための、セキュリティへの配慮が必要になり、ワードプレス側も多数の対策を行っています。ログイン画面で数回エラーになると、指定のメールアドレス宛にパスワード再設定の案内が通知されたりします。
しかしホームページ上で個人情報を取り扱うケース(ネットショップやメルマガ配信等)では、管理画面を社内IPでしか閲覧できなくする、ログイン画面に画像認証を用意する、ログインURLを変更する等の施策が必要かもしれません。
多少のメンテナンス(運用保守)が必要
ワードプレスのプラグインの利用状況によって必要性が変わりますが、プラグインを導入している場合、定期的にバージョンアップされる場合が多々あります。このバージョンアップはワードプレス本体でもあります。
それらのバージョンアップ(アップデート)を一切行わずに、ホームページを運用するのは多少のリスクがつきまといます。また各機能のアップデートにより、稀に正常に動作しないといった、バグが発生する可能性があります。
運用保守契約を制作会社と結んでいない場合は、自分で対応するか、制作会社に依頼するか、の2パターンとなります。制作会社と運用保守契約を締結しておけば、こういったアップデートの対応も代行してくれるメリットがあります。(弊社では月額1万円で対応、別途ページ更新や修正含む)
めちゃくちゃ簡単、というわけではない
ワードプレスを導入すると、めちゃくちゃ簡単にホームページが更新できるような書き方をしていましたが、ちょっと追記させて下さい。
確かに原稿の追加/修正は非常に簡単に、かつ一瞬で対応できるのですが、例えば、左側に料金表(テーブル)で右側に画像挿入したい、といったような原稿の入力だけでなく、装飾やレイアウトを変更する必要がある場合、多少の知識が必要となります。
簡単な装飾であれば、1クリックで対応できるのですが、このページはレイアウトを変えたい、といったレイアウトの変更はCSS側を変更したり、テンプレートを新たに作成する必要があったりするため、知識がないお客様側での対応は難しいと思われます。
あくまで、決まった枠組み(レイアウト)で日本語中心のページであれば簡単に作成・編集できる、と覚えておくと良いでしょう。
システム開発を伴うホームページには向いていない場合がある
決済機能を伴うようなECサイト、複雑な要件が絡むマッチングサイトやポータルサイトなどをワードプレスで開発しようと思うと、開発はできるものの、無駄に工数がかかる・無駄に記述が増える、といったデメリットがあります。
弊社が目安にしているのは、150万以下のECサイト、マッチングサイト等であればワードプレスを活用する、それ以上の予算を考えているのであれば、または最終的に上場を目指すくらいにユーザを増やしたいのであれば、別のアプローチで提案をしております。
具体的には規模が大きいECサイトの場合、受注管理や在庫管理、ユーザ管理が重要になるため、ワードプレスよりEC-CUBEが良いと考えており、マッチングサイトの場合は何でも柔軟に対応するため、フルスクラッチの開発を推奨しております。
また、ワードプレスで規模が大きいサイトを管理すると、管理画面や実際のホームページの表示速度が極端に重たくなるリスクがあります。弊社は基本的にワードプレスを導入するサーバには一番レンタルサーバの中で一番高速なエックスサーバービジネスを推奨しており、エックスサーバーであれば、そんなに重たくなることはありませんが、プラグインの数が増えたり、会員の数が増えたりする場合、どうしても表示速度が重たくなる場合があります。
まとめ
ワードプレスの仕組みと、メリットデメリットを解説していきました。いくつかデメリットを挙げたものの、メリットが大きく無料で使えるので、基本的に弊社ではワードプレスでの制作をお勧めしております。
逆にホームページは名刺側で問題なく、1年に1回更新するかどうか、お問合せフォームは必要ない、というお客様であれば、ワードプレスを導入するのは無駄な気もするので、フルスクラッチでの制作の方が良いかと思われます。
弊社では、ワードプレスの制作を基本としており、長年士業に特化してホームページを制作し続けて来ました。ホームページ制作を少しでもお考えの方は、気軽にお問い合わせください。