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2026.02.14

SEOの内部施策はほぼ役目を終えた?士業サイトが本当に注力すべき施策を解説

森井 良至
執筆者
合同会社オルトベース 代表 森井 良至

SEO対策と聞くと「内部施策のチェックリスト」を思い浮かべる方は多いです。altタグ、サイトマップ、meta description、ディレクトリ階層、canonicalタグ、パンくずリスト…。かつてはこれらを1つずつ最適化することがSEOの王道でした。しかし現在、これらの施策が検索順位に与える影響はほぼなくなっています。さらに言えば、WordPressで制作したサイトであれば基本的な内部施策は最初から実装済みです。この記事では、どの内部施策が不要になったのか、今本当に注力すべきはどこなのかを、実務者の視点で解説します。

SEOの内部施策の大半は順位を左右しなくなった

2010年代のSEOでは、内部施策のチェックリストを1つずつ潰していくのが定石でした。meta descriptionを全ページに設定する、altタグを漏れなく入れる、XMLサイトマップを送信する、URL構造を整理する。これらは当時のSEO教科書に必ず書かれていた項目であり、いわば「SEOのお守り」のようなものでした。

しかしGoogleのアルゴリズムはこの10年で大きく進化しました。現在のGoogleは、技術的な内部施策の有無よりも「コンテンツの質」と「外部からの信頼性(E-E-A-T)」を圧倒的に重視しています。内部施策が完璧でもコンテンツが薄ければ上位表示されませんし、逆に内部施策が70%程度の完成度でも、コンテンツと外部評価が優れていれば十分に上位表示されます。

弊社の経験では、内部施策の完成度が70%のサイトと100%のサイトで、検索順位に有意な差が出たケースはほぼありません。残りの30%は誤差です。差が出るのは常にコンテンツの質と外部からの評価です。にもかかわらず、「内部施策=SEO対策」と思い込んでいる事務所や制作会社はいまだに多く、本来注力すべき施策に時間と予算を割けていないケースが目立ちます。(内部施策を完璧にして安心している間に、競合はコンテンツと外部活動で差をつけています)

効果がほぼなくなった内部施策の一覧

具体的にどの内部施策が不要になったのか、1つずつ見ていきます。

施策 かつての常識 現在の実態
meta description 全ページに個別設定すべき Googleが本文から自動生成。手動設定は不採用が大半
altタグ 全画像に設定すべき 画像検索以外のランキング要因にならない
XMLサイトマップ 必須。未送信は致命的 数百ページ以下のサイトでは不要
HTMLサイトマップ クローラー巡回の補助に有効 Googleのクロール能力向上により不要
ディレクトリ階層 浅い方がSEOに有利 ランキング要因ではない。ユーザビリティの問題
canonicalタグ 重複コンテンツ対策に必須 WordPressが自動設定。手動で触る場面がない
パンくずリスト SEO効果あり WordPressテーマが自動出力。ランキング影響は極小

meta descriptionはGoogleが本文から自動生成する

meta descriptionはかつて「SEO内部施策の基本中の基本」とされていました。しかし現在、Googleは検索結果のスニペット(説明文)をページの本文から自動生成しています。Google公式ドキュメントでも「Googleはmeta descriptionタグを使用する場合がありますが、ページのコンテンツから直接取得した方がユーザーにとって正確な説明になる場合はそちらを使用します」と明記されています(出典 Google Search Central – Control your snippets in search results)。

つまり、手動で設定したmeta descriptionが採用される保証はありません。実際、弊社が管理する士業サイト50サイト以上の検索結果を確認したところ、meta descriptionがそのまま採用されているケースは全体の3割程度でした。残りの7割はGoogleが本文から自動生成したスニペットが表示されています。全ページのmeta descriptionを丁寧に書き上げても、7割は無視されるわけです。

altタグは画像検索以外のランキング要因にならない

altタグ(画像の代替テキスト)は、アクセシビリティの観点では設定すべきものです。視覚障害のあるユーザーがスクリーンリーダーを使用する際に必要だからです。しかし、通常の検索順位へのSEO効果はほぼゼロです。

altタグが影響するのはGoogle画像検索の順位だけです。士業サイトで「税理士 事務所 内観」の画像検索から問い合わせが来ることはまずありません。SEO目的でaltタグに時間をかけるのは無視してOKです。装飾画像にはaltを空にし、意味のある画像にだけ簡潔な説明を入れれば十分。(全画像にaltを設定する時間があるなら、コラムを1本書いた方がよほど成果につながります)

XMLサイトマップやHTMLサイトマップは士業規模なら不要

XMLサイトマップは、Googleにサイト内のページ一覧を伝えるためのファイルです。数万ページ以上の大規模ECサイトやニュースサイトでは有効ですが、士業事務所のサイトは多くても100〜200ページ程度。100ページ以内のサイトなら無視してOKです。Googleのクローラーは通常のリンク構造を辿るだけで全ページを問題なくインデックスできます。

HTMLサイトマップ(サイト内のページ一覧ページ)に至っては、完全に化石です。2000年代にはクローラーの巡回を助ける効果がありましたが、現在のGoogleのクロール能力は格段に向上しています。

ディレクトリ階層・canonical・パンくずリストはWordPressが自動処理する

階層が深すぎるとユーザーがページにたどり着きにくいというユーザビリティの問題であり、SEO順位に直接影響する要素ではありません。3階層だろうが5階層だろうが、順位への影響は誤差の範囲です。

canonicalタグ(正規URLの指定)やパンくずリスト(ページの階層表示)も同様です。これらはSEOの基礎として語られることが多いですが、WordPressのテーマやプラグインが最初から自動で出力しています。手動で設定する必要がある場面は、通常の士業サイトではまず発生しません。

titleタグと見出しタグは今でもSEOに直結する

内部施策の大半が不要になった中で、titleタグと見出しタグ(H1〜H4)だけは例外です。この2つは今でも検索順位に明確な影響を与えます。

titleタグは検索順位とクリック率の両方に影響する

titleタグは、Googleが「このページは何のページか」を判断する最も重要な要素です。検索結果に表示されるタイトルリンクの元にもなるため、検索順位だけでなくクリック率にも直結します。

titleタグは内部施策の中で唯一、時間をかけて最適化する価値がある要素です。対策キーワードを自然な形で含め、32文字前後で「読者がクリックしたくなる」文言に仕上げることが重要です。AI Overview時代ではクリック率の重要性がさらに増しており、限られたクリック機会を逃さないためにも、titleタグの質は妥協すべきではありません。

見出しタグはコンテンツの構造をGoogleに伝える

見出しタグ(H2〜H4)は、記事の論理構造をGoogleに伝える役割があります。適切な見出し設計は、Googleが記事の内容を正しく理解する助けになり、関連キーワードでの表示機会を増やします。

見出しはSEOのためだけでなく、読者にとっての読みやすさにも直結します。見出しを流し読みするだけで記事の要点が把握できる構成が理想です。titleタグと見出しタグ、この2つだけは手を抜かず、丁寧に設計してください。

WordPressで制作すれば内部施策の基本は実装済み

ここまで読んで「では内部施策は何もしなくていいのか」と思われたかもしれません。正確には「WordPressで普通に制作すれば、必要な内部施策は最初から実装されている」のです。

テーマとプラグインが技術的SEOの大半をカバーしている

現在のWordPressの主要テーマは、SEOに必要な技術要素を標準で実装しています。

  • レスポンシブ対応(モバイル最適化)
  • OGP設定(SNSシェア時の表示最適化)
  • canonicalタグの自動出力
  • パンくずリストの自動生成
  • XMLサイトマップの自動生成

これらは特別な設定をしなくても、WordPressでサイトを構築した時点で動作しています。「内部施策が大事」と言われて不安になる必要はありません。WordPressで制作した時点で、基本は完了しています。

「内部対策しました」はWordPressの初期設定をしただけの場合が多い

注意すべきは、制作会社が「SEO内部対策」として追加費用を請求するケースです。見積書に「SEO内部対策 10万円」と記載されていても、実際にやっていることはWordPressのプラグイン設定やmeta descriptionの入力だけ、ということは珍しくありません。弊社にリニューアル相談に来られた事務所の前の制作会社の「SEO対策」内容を確認すると、ほとんどがWordPressの初期設定レベルの作業でした。(やっていることはプラグインの有効化とチェックボックスをオンにしただけです)

WordPressの初期設定をSEO対策(内部施策)と称して高額請求するのは、業界の悪しき慣習と言わざるを得ません。具体的に何をするのか、それによってどんな効果が見込めるのかを必ず確認してください。前述の通り、meta descriptionやaltタグを全ページに設定しても順位への影響はほぼありません。その費用を後述する外部活動やコンテンツ制作に回した方が、はるかに効果的です。

コンテンツはAI Overview時代でも依然として重要

内部施策より重要なのはコンテンツの質です。ただし、コンテンツを取り巻く環境もこの1〜2年で大きく変わっています。

AI Overviewにより情報提供型コンテンツのコスパは悪化した

GoogleのAI Overview(検索結果の最上部にAIが回答を表示する機能)の普及により、「〇〇とは」「〇〇 方法」といった情報提供型のコンテンツは流入が大幅に減少しています。ユーザーがAIの回答を読んで満足し、サイトをクリックしなくなったためです。

以前は「記事を書けば書くほど流入が増える」という、ある意味おいしい時代でした。しかし現在は記事のテーマ選定を間違えると、いくら良質な記事を書いても流入につながりません。情報提供型コンテンツの費用対効果は、以前と比べて明らかに悪化しています。(記事量産が正義だった時代が懐かしくもあります)

弊社クライアントの税理士事務所でも、「相続税 計算方法」で3年以上1位を維持していた記事がAI Overview導入後に流入が約70%減少した事例があります。記事の品質も検索順位も変わっていないのに、AIが回答を表示するようになっただけでこれだけの影響が出ます。1本あたり5〜10万円のコストをかけて記事を制作しても、AI Overviewの対象キーワードであれば回収が難しくなっているのが現実です。

それでもコンテンツがSEOの土台であることは変わらない

では「コンテンツも不要なのか」と言えば、それは違います。コンテンツはSEOの土台であり、これなしに上位表示はあり得ません。変わったのは「どんなコンテンツを作るか」の戦略です。

AI Overviewの影響を受けにくいコンテンツは明確に存在します。「新宿区 税理士 相続」のような地域キーワード、「相続 税理士 いつ相談」のような相談意図キーワードはAI Overviewが表示されにくく、今でも安定した流入が見込めます。

さらに、事務所独自の解決事例や実績、代表者の専門的な見解といったオリジナルコンテンツは、AIに要約・代替されることがありません。「相続 税理士 いつ相談」のようなキーワードで、自事務所の実体験を交えた記事を書けば、AIには真似できない価値を読者に提供できます。

コンテンツの「量」をやみくもに増やす時代は終わりました。「狙うキーワードの選び方」と「その事務所にしか書けない独自性」にこだわること。これがAI Overview時代のコンテンツ戦略です。月に10本の薄い記事を書くより、相談意図型・地域キーワードで月2〜3本の濃い記事を作る方が、問い合わせにつながる確率は高くなります。

内部施策より注力すべきは外部での専門家としての活動

内部施策に時間を費やす代わりに、最も成果につながるのが「外部での専門家としての活動」です。Googleが重視するE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)は、サイトの内部設定をいくらいじっても上がりません。Web上で「この人は本物の専門家だ」と認知されるための対外的な実績が必要です。

被リンクとサイテーションは今も最重要のランキング要因

外部サイトからのリンク(被リンク)は、Googleが「このサイトは信頼できる」と判断するための最も重要なシグナルです。これは10年前から変わっていません。

加えて、サイテーション(リンクを伴わない事務所名・個人名のWeb上での言及)も評価に影響します。ニュース記事やSNSの投稿で事務所名が言及されるだけでも、Googleはその事務所の知名度や信頼性を認識します。被リンクの「数」を追うのではなく、信頼性の高いサイトからの被リンクとサイテーションを自然に増やす活動が、現在のSEOで最も効果的な施策です。

監修・寄稿・メディア露出がE-E-A-Tを直接高める

Googleが評価する「権威性」と「信頼性」を高める最も確実な方法は、外部メディアでの活動です。

  • 他メディアの記事監修(「監修 〇〇税理士」とクレジットが入る形)
  • 専門サイトやWebメディアへの寄稿
  • 新聞・テレビ・Webメディアからの取材対応
  • 書籍・電子書籍の出版
  • 業界団体での講演やセミナー登壇

これらの活動は、被リンクとサイテーションの両方を自然に獲得できます。記事監修であれば監修者紹介として事務所サイトへのリンクが設置されますし、メディア掲載であれば記事内で事務所名が言及されます。

実際の取り組み方として、監修案件はクラウドソーシングサイトやSNSで募集されていることが多く、士業の資格を持っていれば比較的受注しやすいのが特徴です。寄稿についても、業界専門メディアに企画を持ち込めば掲載されるケースは少なくありません。内部施策のチェックリストを潰す時間があるなら、監修や寄稿の営業に1件でも多く動いた方が、SEO効果は圧倒的に高いのです。

SNS・YouTube・セミナーが間接的にSEOを底上げする

SNSやYouTubeでの発信は、直接的なランキング要因ではありません。しかし、これらの活動は間接的にSEOを大きく底上げします。

SNSやYouTubeで専門家としての認知が広がると、「〇〇法律事務所」という事務所名での指名検索が増えます。指名検索の多さは、Googleがドメインの信頼性を評価する重要なシグナルです。また、SNSでの言及はサイテーションとして蓄積され、事務所のWeb上での存在感を高めます。

具体的に取り組みやすい施策としては、X(旧Twitter)やFacebookで週2〜3回の専門的な投稿を行う、YouTubeで月1〜2本の解説動画を公開する、といったものがあります。大量のフォロワーを集める必要はありません。専門家としての発信を継続的に行うことで、サイテーションと指名検索が着実に積み上がっていきます。

セミナーやウェビナーの開催も同様です。参加者がSNSで感想を投稿したり、開催レポートがWebに掲載されたりすることで、被リンクとサイテーションが自然に発生します。これらの「検索外の活動」こそが、結果的にSEOの成果を左右する時代になっています。

最後に

SEOの内部施策は「やらなくていい」のではなく、「WordPressが勝手にやっている」というのが正確な表現です。altタグ、サイトマップ、meta description、canonical、パンくずリストなどに時間を費やす必要はもうありません。そこに時間をかけるのは、鍵のかかったドアの前で鍵を磨いているようなものです。

時間と予算を使うべきは、titleタグと見出し設計の最適化、相談意図型・地域キーワードを狙ったコンテンツの制作、そして監修・寄稿・SNS・セミナーなどの外部活動です。特に外部活動はE-E-A-Tの強化、被リンク・サイテーションの獲得、指名検索の増加と、SEOに好影響を与える要素を複合的に満たします。内部のチェックリストを埋めて安心するのではなく、外に出て専門家としての存在感を高めること。それが現在のSEOで最も成果につながる施策です。(内部施策の見直しより、監修案件を1件獲得する方が、SEO的にはよほど価値があります)

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