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2026.02.14

士業で低額予算のリスティング広告を行う場合の最善策

森井 良至
執筆者
合同会社オルトベース 代表 森井 良至

士業のリスティング広告で成果を出すために最も大切なのは、「いかに攻めるか」ではなく「いかに守るか」です。月額10万〜30万円の予算で広告を回す士業事務所にとって、Googleの自動最適化やAI機能は味方ではありません。本記事では、低予算でも問い合わせを獲得するための「守りの広告運用」を、設定レベルで具体的に解説します。

目次

士業の広告運用は「いかに無駄クリックを削るか」が全て

月10万〜30万円では1クリックのミスが致命傷になる

士業領域のリスティング広告は、クリック単価が高い業種の代表格です。「税理士 相談」「弁護士 離婚」といったキーワードのクリック単価は1,000〜3,000円が相場で、月額10万円の予算では33〜100クリックしか買えません。

この限られたクリックの中から問い合わせにつながるのは、一般的に1〜5%程度です。つまり月10万円の予算なら、問い合わせは月に1〜3件がやっとという計算になります。無関係な検索語で5クリック消費されれば、それだけで予算の5〜15%が消えます。低予算運用では、1クリックの質が結果を左右します。

大手の士業紹介サイトや税理士紹介会社は、月額数百万円〜数千万円の広告費を投下しています。同じキーワードで個人事務所が正面から戦えば、クリック単価の釣り上げ競争に巻き込まれるだけです。低予算の事務所が取るべき戦略は、大手と同じ土俵で戦うことではなく、「無駄を徹底的に排除して、限られたクリックから確実に問い合わせを取る」という守りの戦い方です。

Googleの「おすすめ設定」は広告主の味方ではない

Google広告の管理画面を開くと、「最適化案」「おすすめの設定」が次々と表示されます。キーワードの追加、予算の引き上げ、自動入札への切り替え。どれもGoogleが「成果が改善する」と主張する提案です。

しかし冷静に考えれば、Googleは広告プラットフォームの運営者です。広告主の予算が増えれば、Googleの売上も増えます。この利益構造を理解した上で、Googleの提案を鵜呑みにしない姿勢が低予算運用の出発点です。(Googleの提案をすべて受け入れたら、予算は一瞬で溶けます)

マッチタイプは完全一致を基本にする

インテントマッチ(部分一致)は士業の低予算運用では使わない

Google広告のマッチタイプには「完全一致」「フレーズ一致」「インテントマッチ(部分一致)」の3種類があります(出典 Google広告ヘルプ キーワードのマッチタイプについて)。

このうち、インテントマッチは使いません。インテントマッチはGoogleのAIが「関連性がある」と判断した検索語にまで広告を表示する仕組みです。たとえば「新宿区 税理士」で登録すると、「税理士 年収」「税理士試験 難易度」「税理士 辞めたい」といった、相談意図がゼロの検索にも広告が出る可能性があります。

大手企業が月額数百万円の予算で回すなら、AIがデータを学習して精度を上げる余地があります。しかし月10〜30万円の士業アカウントでは、AIが学習する前に予算が尽きます。インテントマッチは、低予算運用においては「予算を溶かす装置」でしかありません。

以下の表で、マッチタイプごとに「新宿区 税理士」で登録した場合の広告表示範囲を比較します。

マッチタイプ 広告が表示される検索語の例 士業での評価
完全一致 「新宿区 税理士」「税理士 新宿区」など意味が同じ検索語のみ 低予算では最適。意図しない表示を物理的に遮断できる
フレーズ一致 「新宿区 税理士 おすすめ」「新宿区 税理士 費用」なども含む 完全一致で不足する場合のみ。除外キーワード必須
インテントマッチ 「税理士 年収」「会計事務所 求人」「確定申告 自分で」なども含む 低予算では厳禁。AIの拡張が無関係な検索を大量に拾う

フレーズ一致は完全一致で表示回数が足りないときだけ検討する

フレーズ一致は、登録キーワードの意味を含む検索語に対して広告を表示します。「新宿区 税理士」で登録すれば、「新宿区 税理士 おすすめ」「新宿区 税理士 費用」などにも表示されます。

完全一致だけで十分な表示回数が確保できるなら、フレーズ一致を使う理由はありません。完全一致で回してみて、表示回数が少なすぎて予算が余る状態になった場合にのみ、フレーズ一致を慎重に追加します。フレーズ一致を追加する際は、必ず除外キーワードとセットで設定することが条件です。

除外キーワードの設定は「攻め」ではなく「生命線」

フレーズ一致を使う場合、除外キーワードの設定が不可欠です。「年収」「試験」「難易度」「求人」「資格」など、相談意図のない検索語を徹底的に除外します。

除外キーワードは一度設定して終わりではありません。週に1回は検索語レポートを確認し、意図しない検索語で広告が表示されていたら即座に除外リストへ追加します。この地道な作業こそが、低予算運用の生命線です。(正直、面倒な作業ですが、これをサボると予算がどんどん無関係なクリックに食われます)

士業で共通して除外すべきキーワードの例をまとめておきます。

  • 「年収」「給料」「平均年収」(就職・転職目的の検索)
  • 「試験」「資格」「難易度」「合格率」(受験目的の検索)
  • 「求人」「採用」「転職」(求職目的の検索)
  • 「無料」「タダ」(無料相談以外を期待する検索)
  • 「自分で」「やり方」「方法」(依頼ではなく自力解決を望む検索)

これらは配信開始前にあらかじめ登録しておきます。運用開始後に検索語レポートで発見する「予想外の無駄クリック」を防ぐ最初の防衛線になります。

士業のキーワード選定は「熱感の高い検索語」に絞り込む

「地域名+士業名」は競合が強くてもCPAが合いやすい

士業のリスティング広告で最も費用対効果が高いのは、「地域名+士業名」のキーワードです。「新宿区 税理士」「横浜 弁護士」「大阪 社労士」など。これらのキーワードは紹介会社も入札しているため単価は高めですが、検索している人の相談意図が明確なため、問い合わせにつながりやすい傾向があります。

税理士のリスティング広告戦略でも解説していますが、税理士の顧問案件であればCPA(顧客獲得単価)は5〜6万円程度が目安です。年間顧問料50万円の契約が取れれば、CPAは十分に回収できる計算になります。

他の士業でも同様に、1件の成約で得られる報酬額に対してCPAが見合うかどうかを事前に計算しておくことが重要です。たとえば弁護士の離婚案件なら着手金30〜50万円、司法書士の相続登記なら報酬10〜20万円が相場です。問い合わせからの成約率を10%と仮定すると、1件の成約に必要な問い合わせ数と許容CPAが逆算できます。この「いくらまでなら1件の問い合わせに払えるか」という基準がないまま広告を出すのは、地図を持たずに航海するようなものです。

「地域名+士業名+悩み」の3語キーワードが最も費用対効果が高い

さらに費用対効果を上げるなら、「地域名+士業名+悩み」の3語キーワードが有効です。検索ボリュームは小さくなりますが、その分クリック単価が下がり、相談意図もより具体的になります。

士業 3語キーワード例 検索意図
税理士 新宿区 税理士 顧問 顧問契約を探している
弁護士 横浜 弁護士 離婚 離婚問題で相談したい
司法書士 渋谷 司法書士 相続 相続手続きを依頼したい
社労士 大阪 社労士 助成金 助成金申請を相談したい
行政書士 名古屋 行政書士 建設業許可 建設業許可の申請を依頼したい

月間検索ボリュームが50〜200程度の「小さなキーワード」を複数拾い集めて、確実に問い合わせを取りに行く。これが低予算運用の基本姿勢です。1つのキーワードでは月に数件しかクリックが発生しなくても、こうしたキーワードを10〜20個登録すれば、全体として十分な表示回数とクリック数を確保できます。大きなキーワード1本に賭けるよりも、小さなキーワードの束で戦う方がリスク分散にもなります。

単体キーワード・一般系キーワードは低予算では手を出さない

「税理士」「弁護士」といった単体キーワード、「税理士 費用」「弁護士 相談」といった一般系キーワードは、月10〜30万円の予算では手を出すべきではありません。クリック単価が高く、検索意図も曖昧で、大手紹介サイトとの入札競争に巻き込まれます。

「いつかは大きなキーワードでも」と思うかもしれませんが、予算が限られているうちは欲張らないことです。小さなキーワードで確実にCPAを合わせる実績を積み、予算を増やせる段階になってから検討すれば十分です。

入札戦略は手動入札を選ぶ

自動入札が機能するには月間コンバージョン30件以上が必要

Google広告の自動入札(スマート自動入札)は、過去のコンバージョンデータをもとにAIが入札単価を自動調整する仕組みです。Googleは自動入札を強く推奨していますが、AIが正確に学習するためには十分なデータ量が必要です。

一般的に、自動入札がまともに機能するには月間30件以上のコンバージョンが目安とされています。月10〜30万円の士業アカウントで月間30件のコンバージョンを達成できるケースはまずありません。データが不十分な状態で自動入札を使うと、AIが迷走して予算を食い尽くすリスクがあります

手動入札のデメリットは「手間がかかる」だけ

手動入札のデメリットは、運用者がキーワードごとに入札単価を設定・調整する手間がかかることです。逆に言えば、デメリットはそれだけです。

手動入札なら、想定外の高単価クリックが発生するリスクを自分でコントロールできます。クリック単価の上限を自分で決められるため、「気づいたら予算が溶けていた」という事態を防げます。低予算運用では、コントロールを手放すことがそのままリスクに直結します。

手動入札での初期単価の決め方はシンプルです。まずはGoogleのキーワードプランナーで推定クリック単価を確認し、その70〜80%程度の単価で配信を開始します。表示回数が不足すれば単価を上げ、CPAが悪化すれば単価を下げる。この微調整を2〜4週間続ければ、自分のアカウントに合った適正単価が見えてきます。

「手間をかける=予算を守る」と考える

低予算運用では、「手間を省くこと」と「成果を出すこと」は両立しません。自動化で手間を省けば、その分だけ予算のコントロールを失います。週に1〜2時間、検索語レポートの確認と入札単価の調整に時間を割くこと。これが月10〜30万円の予算を守る唯一の方法です。(楽をしたいなら広告費を月100万円以上に増やすしかありません)

Pmax(パフォーマンス最大化キャンペーン)は士業には向かない

「今すぐ相談したい人」はYouTubeやディスプレイにはいない

Pmax(パフォーマンス最大化キャンペーン)は、検索広告・ディスプレイ広告・YouTube広告・Gmail広告・Discover広告など、Googleの全広告枠に一括配信するキャンペーンタイプです(出典 Google広告ヘルプ P-MAX キャンペーンについて)。

士業に広告で問い合わせをしてくる人は、「今すぐ相談したい」「今すぐ依頼先を探している」という顕在層です。こうした人はGoogle検索で「地域名+士業名」と検索します。YouTubeを見ているとき、Gmailを開いているとき、ニュース記事を読んでいるときに「弁護士に相談しよう」とは思いません。

Pmaxは検索以外の配信面にも予算が流れるため、士業にとっては「今すぐ客」がいない場所に予算を垂れ流す結果になります。さらに厄介なのは、Pmaxではどの配信面にいくら使われたかの詳細が見えにくい設計になっていることです。月10万円の予算のうち、実際に検索広告に使われたのがいくらで、ディスプレイに消えたのがいくらなのか、正確に把握するのが困難です。予算の使途が不透明な広告を、低予算で使うべきではありません

Pmaxの正体はGoogleの広告枠を全面的に消費させる仕組み

GoogleがPmaxを積極的に推奨する背景には、ディスプレイやYouTubeなどの広告在庫を消化したいというプラットフォーム側の事情があります。検索広告だけでは売れない広告枠を、Pmaxという「全自動パッケージ」に包んで広告主に買わせる仕組みです。(Googleにとっては在庫処分セールのようなものです)

月額数百万円の予算がある大手企業なら、認知拡大を目的としたPmax活用も選択肢になり得ます。しかし月10〜30万円で「問い合わせ」という明確なゴールを追う士業事務所には、Pmaxを使う理由がありません。予算は検索連動型広告に100%集中させるのが正解です。

Googleの自動最適化・自動適用はすべてオフにする

勝手に適用される「最適化案」の具体例

Google広告には「自動適用」という機能があり、初期設定ではGoogleが「効果的」と判断した最適化案が自動的に適用されます。具体的には以下のような変更が、広告主の確認なしに実行されることがあります。

  • 新しいキーワードの自動追加
  • 入札戦略の自動変更(手動から自動への切り替え)
  • 広告文の自動作成・差し替え
  • 予算の自動引き上げ
  • 広告の配信先の自動拡張

低予算で完全一致キーワードだけに絞り込んで運用しているのに、Googleが勝手にキーワードを追加したり入札戦略を変更したりすれば、せっかくの「守りの運用」が根底から崩れます。特に入札戦略の自動変更は影響が大きく、手動入札から自動入札に切り替わった瞬間からクリック単価がコントロール不能になります。(知らないうちに設定が変わっていた、という話は実際によく聞きます。月末にレポートを見て初めて気づくケースもあります)

自動適用をオフにする手順と確認すべき設定項目

Google広告の管理画面で「最適化案」のページを開き、「自動適用」の設定をすべてオフにします。また、以下の設定も必ず確認してください。

設定項目 推奨設定
最適化案の自動適用 すべてオフ
動的検索広告の自動作成 オフ
広告の自動作成アセット オフ
検索パートナーへの配信 オフ
ディスプレイネットワークへの拡張 オフ

これらの設定は、アカウント開設直後にまとめて確認・変更しておくべきです。デフォルト設定のまま運用を始めると、Googleの自動化にアカウントを支配されます。鍵のかかったドアの前で鍵を磨いているような状態にならないよう、最初の設定を甘く見ないことです。

配信デバイスはPCに全振りする

法人向け案件はPCからの問い合わせが成約率が高い

士業への相談、特に法人案件(顧問契約、M&A、事業承継、労務トラブルなど)は、PCから問い合わせが来るケースが多い傾向があります。理由は単純で、法人の担当者はオフィスのPCで情報収集をしているからです。

また、士業への相談は金額も大きく、内容も複雑です。スマホの小さな画面で比較検討するよりも、PCでじっくり調べて問い合わせる行動パターンが自然です。実際に弊社のクライアントでも、PC経由の問い合わせはスマホ経由と比べて成約率が2〜3倍高いというケースが珍しくありません。

スマホは誤クリックとCPA悪化の温床になる

スマホ広告には構造的な問題があります。画面が小さいため誤クリック(タップミス)が発生しやすく、サイトを開いてもすぐに離脱されやすい傾向があります。特に士業の問い合わせフォームは入力項目が多くなりがちで、スマホからの入力完了率はPCと比べて大幅に下がります。

結果として、スマホ配信はクリックは発生するが問い合わせにはつながらない状態になりやすく、CPA(顧客獲得単価)が悪化する原因になります。月10万円の予算でPC・スマホ両方に配信すると、スマホの誤クリックで予算の半分近くが無駄になるケースも珍しくありません。低予算運用では、まずPCに100%配信し、予算に余裕が出てからスマホ配信を検討するのが安全です。

個人向け案件はスマホ配信も検討の余地がある

ただし例外もあります。確定申告案件のように個人事業主がターゲットの場合、スマホで「確定申告 税理士 地域名」と検索するユーザーも一定数います。この場合、スマホ配信を完全に切るとリーチが不足する可能性があります。

個人向け案件でスマホ配信を試す場合は、PC配信と別にキャンペーンを作成し、CPAを個別に計測することをおすすめします。スマホのCPAがPCの2倍以上に膨らむようなら、スマホは停止して予算をPCに集中させる判断をします。

配信地域と配信時間を絞り込んでさらに無駄を削る

配信地域は自事務所の商圏に限定する

配信地域は、自事務所が実際に対応可能なエリアに限定します。東京23区の事務所なら23区内、もしくは最寄り駅から電車で30分圏内の市区町村に絞るのが基本です。

「オンライン対応だから全国配信でも問題ない」と考える方もいますが、低予算で全国配信すれば、クリックが全国に分散して1エリアあたりの表示回数が極端に少なくなります。まずは商圏内で確実に成果を出し、予算が増えた段階でエリアを広げるのが合理的です。

配信地域の設定には注意点があります。Google広告の地域設定にはデフォルトで「この地域に所在地があるユーザーと、関心を示しているユーザー」が選択されています。これだと、たとえば大阪の事務所が「大阪市」で設定しても、大阪に「興味がある」だけの東京のユーザーにも広告が表示される可能性があります。「この地域に所在地があるユーザー」に変更することで、実際にそのエリアにいるユーザーだけに配信を限定できます。

営業時間外の配信は単価を下げるか停止する

士業事務所の場合、営業時間外に問い合わせフォームから連絡が来ても、対応は翌営業日になります。夜間や休日に検索して問い合わせフォームを送信する可能性はゼロではありませんが、効率を考えれば、営業時間内に配信を集中させるのが低予算運用のセオリーです。

完全に停止しなくても、営業時間外は入札単価を50%下げるなどの調整で、限られた予算をより効果的に配分できます。広告のスケジュール設定は管理画面から簡単に行えるため、必ず設定しておくべきです。たとえば平日9時〜18時は通常配信、18時〜23時は入札単価を50%引き下げ、23時〜翌9時は配信停止、といった設定が一般的です。土日の扱いは事務所の営業形態に合わせて判断します。

広告文とランディングページで「問い合わせの質」を上げる

広告文に「価格」や「対象」を明記して冷やかしクリックを減らす

広告文は「たくさんクリックされる広告」ではなく「見込み客だけがクリックする広告」を目指します。具体的には、広告文の中に料金目安や対象者を明記します。

たとえば「顧問料月額3万円〜」「法人専門」「相続に強い」といった情報を広告文に含めることで、予算が合わない人や対象外の人のクリックを事前に防げます。クリック率は下がりますが、クリックの質は上がります。低予算運用では、クリック率よりもコンバージョン率を重視するのが正しい判断です。

広告文で差別化要素を打ち出すことも効果的です。「設立3年未満は顧問料月額1万円」「初回相談60分無料」「相続税申告の実績年間50件」など、他の事務所にはない具体的な強みを入れることで、自事務所に合った見込み客だけを引き寄せることができます。抽象的な「安心」「信頼」「実績豊富」では、他の事務所との違いが伝わりません。数字と条件で差別化するのが鉄則です。

ランディングページは1ページ完結で問い合わせ導線を最短にする

広告をクリックした先のランディングページ(LP)は、余計な導線を排除して「問い合わせ」だけに集中させます。事務所の概要、強み、料金の目安、問い合わせフォーム。この4要素を1ページに収めるのが理想です。

トップページに飛ばしてサイト内を回遊させるのは、低予算運用では悪手です。ユーザーがサイト内で迷っている間に離脱するリスクが高まります。電話番号はページ上部に固定表示し、フォームはページ下部に配置する。「相談したい」と思った瞬間にアクションできる設計にすることで、せっかくのクリックを無駄にしない構造が作れます。

問い合わせフォームの項目数も重要です。名前、電話番号、メールアドレス、相談内容の4項目程度が理想です。「会社名」「住所」「相談のきっかけ」など、入力項目を増やすほど離脱率は上がります。詳しいヒアリングは問い合わせ後の電話やメールで行えばよいので、フォームは「連絡先を取得する」ことだけに絞るのが正解です。

広告代理店に丸投げする前に知っておくべきこと

月額10万円以下の案件は代理店にとって利益が出ない

広告代理店の手数料は、一般的に広告費の15〜30%です。月額10万円の広告費なら手数料は1.5〜3万円。この金額で運用担当者を張り付けるのは、代理店にとって採算が合いません。

結果として、低予算の案件は経験の浅い担当者が片手間で管理するか、ほとんど放置されるケースが少なくありません。「プロに任せているから安心」と思っていたら、自動入札とインテントマッチをオンにして放置されていた、という話は珍しくありません。月額30万円以下の予算であれば、代理店に払う手数料を広告費そのものに回した方が成果につながる可能性が高いです。

代理店の手数料構造を理解してから依頼を判断する

どうしても代理店に依頼する場合は、手数料の構造を事前に確認します。

手数料体系 内容 注意点
広告費の○% 月額広告費に対して15〜30%を徴収 広告費を増やすほど代理店の利益も増えるため、予算削減のインセンティブが弱い
固定費型 月額3〜5万円の固定手数料 広告費10万円に対して手数料5万円では費用対効果が合わない
初期構築+スポット 初期設定のみ代行し、運用はスポット相談 自社運用の体制が必要だが、手数料コストは最も低い

低予算の士業事務所には、初期構築だけ専門家に依頼し、日々の運用は自分で行うスタイルが最も合理的です。運用の手間はかかりますが、本記事で解説した「守りの設定」を最初に固めてしまえば、日々の作業は検索語レポートの確認と入札単価の微調整程度で済みます。

代理店を選ぶ際にもう一つ確認すべきなのは、「運用レポートの内容」です。月1回のレポートに書かれているのが「クリック数」「表示回数」「クリック率」だけでは意味がありません。重要なのは「どの検索語で広告が表示されたか」「除外キーワードの追加状況」「マッチタイプの設定」といった運用の中身です。レポートの質が低い代理店は、運用そのものも形だけの可能性が高いと判断してよいでしょう。

最後に

士業のリスティング広告運用で最も大切なのは、「AIに任せない」「Googleの提案を鵜呑みにしない」「無駄なクリックを徹底的に排除する」という守りの姿勢です。

完全一致のキーワード、手動入札、PC配信、地域限定。どれも地味な設定ですが、月10〜30万円の予算ではこの地味さこそが最大の武器になります。Googleの自動化機能は、月間コンバージョンが数十件を超えるような大規模アカウントのために設計されたものであり、小規模な士業アカウントには向いていないのが現実です。

まずは本記事の設定を一通り実施した上で、検索連動型広告だけに集中して運用を始めてください。守りを固めた上で、問い合わせが安定してきた段階で少しずつ攻めの施策を検討する。この順番を間違えなければ、低予算でも確実に成果は出ます。

広告は「出して終わり」ではなく、毎週の検索語レポート確認、入札単価の微調整、除外キーワードの追加という地道な運用が不可欠です。派手さはありませんが、この「守りの運用」を愚直に続けることが、月10万〜30万円という限られた予算を最大限に活かす唯一の方法です。

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