この記事では税理士の先生に向けて、小さな事務所がホームページで集客していくための方法をまとめたページです。集客には「SEO(自然流入)」と「リスティング(広告流入)」の2つがあり、この記事では主に「SEO」の手法を解説していきます。
目次
はじめに
SEOとリスティングの前提を説明するうえで、「税理士 新宿」で検索した際の、Googleの検索結果とともに解説していきます。
上段:リスティング広告 | お金を払って掲載 |
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中段:Googleマイビジネス | 無料で登録掲載可能 |
下段:検索結果 | ここで上位を狙うことが重要 |
上記で記載したように、リスティング広告は税理士紹介会社が多数出稿しております。オークションで1クリックあたりの価格が決まるので、税理士事務所が広告を出そうとすると、非常に高いクリック単価を支払うことになり、顧問案件を獲得しようとすると費用対効果が合わない、といった状態になっています。(資金調達や会社設立なども同様)
そのためホームページで集客を行うのであれば、SEO対策の方が優先度が高い、と弊社側では考えており、この記事でもSEOを中心とした解説となっています。
検索結果で上位表示するために大切な要素
検索結果で上位を獲得するためには、ドメインの強さが重要となります。
ドメインが強ければ強いほど、検索結果で上位表示しやすくなります。ドメインが強いとは、主に以下のような指標で判断します。※海外のツールで「ドメインレート(DR)」といって、数値化するような仕組みもあります。
被リンク数
被リンクとは、例えば何かしらの記事を執筆し、その記事を見たお客さんが、自分のサイトやブログなどでリンクを貼って共有する行為です。
その被リンクが該当のドメインで、どれくらい存在するか、という指標です。被リンクの判断は複雑で、同一ドメインから大量のリンクを受け取っても、ドメイン数は1として判断されるので、正確には色んなドメインからのリンクが重要です。
また、被リンクの受け方も重要で、TOPページに貰うのか、何かしらの記事ページで貰うのか、また紹介してもらう際にどのような形で、どのような文言でリンクを貰うのかにより評価が分かれます。
ページ数 / 更新頻度
「税理士」での例でいえば、「税理士」に関するページ数がどのくらい多いか、またどのくらいの頻度で更新されているか、という指標です。Googleは(税理士に)関連するページが多ければ多いほど、このドメインは「税理士に特化した専門サイト」として理解するので、新しいページを作成しても上位表示されやすくなります。
ドメインの運用歴(取得からの年数)
ドメインを取得してから何年経過したか、という観点です。Googleが公式で運用歴を見ている、といった発言はありませんが、上位表示されているドメインを見ると、少なからず影響があると推察できます。
新規取得したドメイン(または弱いドメイン)で勝つために
「被リンク」「ページ数」「ドメイン運用歴」が重要である、ということは、逆に言えば新規でドメインを取得し、これからホームページを作っていく場合、または完成した直後の場合、ドメインが非常に弱い状態で戦うことになります。
当然ですが、競合がいないようなキーワード=事務所名などは(田中税理士事務所のように)重複しづらい名称でない限り、上位表示は難しくありません。(競合が少なければ、3週間程度で上位表示できます)
ただ、自分の事務所名で検索してくれる人は、オフライン上の繋がりが中心となり、集客していくためには、見込客を獲得していく必要があります。
見込客を獲得するためには、エリア(地域)系キーワードでの上位表示と、ノウハウ系キーワードでの記事作成が重要となります。
エリア系キーワードで内部対策
「税理士 新宿区」のような、地域名でいかに上位を狙うかが、集客していくために大切です。またローカライズといって、検索者が新宿区のどこかで「税理士」のみで検索した場合でも、「税理士 新宿区」と似たような検索結果となります。
エリア系キーワードは見込客が起業したなどで、税理士を探しているケースが多いため、重要なキーワードとなります。
上位表示をさせるためには、ドメインの強さが重要ではありますが、内部施策といって、タイトルタグなどを以下のように工夫すると良いでしょう。
トップページの例
・○○税理士事務所 | 東京都新宿区の税務・会計なら当事務所にお任せ
・新宿で税理士をお探しなら | 新宿駅徒歩○分の○○税理士事務所へ
下層ページページの例
・業務内容の一覧 | 新宿区の税理士「○○税理士事務所」
Googleマイビジネスに登録
最初に解説した通り、検索結果の一覧は、(広告があれば)リスティング広告の次に「Googleマイビジネス」が表示されます。
Googleマイビジネスは無料で登録でき、「税理士 新宿」などと検索した際に一覧表示されるだけでなく、Googleマップ上に会社が表示されたり、会社名で検索した際の右側(ナレッジパネル)に表示されたりと、メリットが多々あります。
デメリットとしては、ネガティブなレビューが書かれるリスクがある、といったところでしょうか。ちなみにマイビジネスの一覧で表示される箇所の順位を上げるための、MEO対策業者、というのも存在します。ただ、界隈ではとにかく評判が悪いので、優良企業かしっかりどうか見分けてから、発注すると良いでしょう。
積極的な外部メディアへの露出
外部メディアへ記事を書く、外部メディアの記事を監修する、Web上のセミナー(ウェビナー)などに登壇するなど、積極的に露出することにより、自分の事務所名の認知を広げるだけでなく、ドメインの被リンク数増加にも寄与するので、オススメです。
クラウド会計サービスが展開するWebメディアなどでは、税理士に記事の執筆や監修を依頼したいケースが多いため、そういったWebメディアに連絡を取ると良いでしょう。
ユーザが興味を持つ記事を書く
ホームページを新しく作って放置しても、競合が多いエリアでは、上位表示が難しい状態となります。
そのため、見込客が検索しそうなキーワードを記事として公開することが重要です。これを「コンテンツSEO」と呼びますが、どのSEO対策会社に相談したとしても、この施策を提案されるくらいに重要な施策となります。
昨今の流れとしては、WordPress(ワードプレス)と呼ばれる、誰でも簡単に更新作業(記事の作成・編集)ができるシステムを使って、ホームページを作成・納品し、「コンテンツSEO」を行う流れが主流です。
以前まではページを作成・更新しようと思った際、制作会社に外注するという傾向がありましたが、Wordpressで納品することにより、クライアント様側で簡単に作成・更新ができるため、制作会社にお金を支払って依頼する必要性がなくなりました。
有益な記事を提供していくために
上位表示させるうえで最も重要なこと
Googleは検索キーワードの検索意図に対して、「新しく・正確で・わかりやすく・サクッと読んで・課題を解決できる」記事を評価します。
実際に記事にアクセスしたユーザの行動(滞在時間や直帰率など)を見ており、記事から検索結果の一覧に戻ってくることがあれば、「課題を解決できなかった」と判断し、評価されづらくなります。記事を作成する場合「検索結果に戻さない」ことが何よりも重要となります。
以下に上位表示させるための記事の作成方法をまとめていますが、あくまでこれは「検索結果に戻さないためにはどうしたらよいか?」「検索意図はどうやった理解すればよいか?」という考えに対しての方法論となります。
対策キーワードごとで記事を作成する
GoogleやYahooは検索エンジンなので、ユーザが何らかのキーワードで検索します。上述したようにアクセスが発生した場合「検索結果に戻さない」ことが何よりも重要となるので、まずどんなキーワードを対策して記事を作成するか(対策キーワードの選定)を第一に考える必要があります。
検索意図に対して応える内容にする必要があり、同義語を理解するので、下記のようなキーワードは一つの記事に集約する必要があります。
- 「SEO対策とは」「SEO対策 意味」意味を知りたいニーズ
- 「SEO対策 費用」「SEO対策 相場」相場を知りたいニーズ
- 「SEO対策 業者」「SEO対策 会社」企業を探したいニーズ
同じニーズのキーワードをそれぞれ独立して作成してしまうと、Googleが記事を評価する際に、似たようなページが複数存在すると認識し、評価が分散され結果的に上位表示しづらくなります。(Googleはとにかく重複を嫌います。とはいえ重複せざるを得ないケースもあるかと思いますので、その際はページ内重複を全体の3割程度に抑えましょう)
そのため重複を避けるためにも「対策キーワードごとに記事を作成」ではなく、正確には「検索意図ごとに記事を作成」する必要があります。
検索結果には「1ドメイン2つまで」のルール
検索結果には「1ドメイン2つまで」のルールがあります。これは例えば「税理士 費用」「税理士 確定申告 費用」「税理士 顧問 費用」で3つの記事を作成したうえで、「税理士 費用」で検索し、(ありえないですが)誰もそれらの記事を書いていない場合でも、2つの記事のみしか、検索結果に出てきません。
対策キーワードの選び方
対策キーワードは、顕在層と潜在層で分類して探していく必要があります。最終的なゴール(資料請求や見積もり依頼)に繋げるため、顕在層と顕在層でそれぞれどんなワードで検索するかを考え、実際に検索ボリュームを調査していく流れとなります。
ここからは難しい作業となりますが、検索Volの調査が終わったら、そのワードの上位表示記事(競合)はどんな会社でどんな内容か、どれくらい競合がいるか、CV(お問い合わせ)は取れそうか、CVR(お問い合わせ率)は高そうか、という点を見ていきます。
例えば税理士として仕事を増やしていきたいのであれば、「税理士 選び方」「顧問税理士 メリット」「役員報酬 決め方」「税理士 変更」「個人事業主 青色申告」「給与所得控除とは」など税理士界隈に関するワードを一覧でまとめていきます。
以下、それぞれのワードに対する私の所感です
「税理士 選び方」「顧問税理士 メリット」「役員報酬 決め方」
これから起業・開業を考えている層なのでCVR高そう
「税理士 変更」「税理士 不満」
今の税理士に不満を持っている経営者なので、よりCVR高そう
「個人事業主 青色申告」
フリーランスや副業で青色申告を考えている層でCV取れても顧問契約ではなく確定申告なので微妙か
「給与所得控除とは」
経営者層だけでなくサラリーマンが検索している可能性があり、経営者層が検索して見に来てくれても依頼するのは社労士だから微妙か
上記のように判断していきます。CVRが高いといっても対応できない地域からの相談であれば意味がないので難しいところですが。
そのうえで、競合はどれくらい存在し、どんな運営元かを見ていきます。運営元のチェックポイントとしては、国税庁などの政府系ドメイン(go.jp)か、税理士法人や弁護士法人などの大手か、などです。
一般的な事務所が、(ニッチ分野を攻めない限り)これらの競合に勝つこと(上位表示)は難しいので、3語目の複合ワードを狙うか、もっと検索Volが少ないワードを狙うか、を考えます。複合ワードとは「税理士 ○○」の○○のことで、3語目とは「税理士 ○○ △△」の△△を指します。3語目のワードはVolが少ない=競合が少ないケースが多いので、上位表示しやすいメリットがあります。
競合が強いので勝てない=記事を作成しない、というわけではなく、3語目の複合ワードを作成していけば、2語目の複合ワードで上位表示しやすくなります。(Googleは同一ジャンルでの記事数の多さ=専門性が高いと評価されたり、関連記事にリンクさせることで遷移率が増えユーザ行動が良くなる=検索結果に戻らないため、評価されやすくなります)
競合の見出しを参考にする
上位表示を取るためには、競合の上位表示の記事を参考にすることが何よりも大切です。捉え方を変えれば、Googleがそのキーワードで最も評価している記事が上位に表示される=検索意図に対しての応える内容があるため、参考にする必要があります。(正確には記事の内容が微妙でも上位表示されるケースがあります。この件に関しては後述しています)
参考にするため、まず上位3~5位の見出し(h2,h3,h4)がどのようになっているかを抽出したうえで、なるべくそれらの見出しを網羅する形としつつ、さらにこんな情報があったらユーザの役に立つのでは?と考え、見出しを追加して記事を作成します。
ここで重要なのは、色んな検索意図に応えようとするのではなく、検索キーワードの検索意図に対しての解決のみを考えることです。
例えば「税理士 選び方」のキーワードでは、「顧問契約するために選び方を知りたい」「確定申告を依頼したいので選び方を知りたい」など、「税理士の選び方を知りたい」が検索意図となります。その記事に「税務調査対策とは」「青色申告とは」などのコンテンツを用意したとしても、検索意図の応えからはブレる内容となるので記載しないようにしましょう。
記事の網羅性に関して
Googleは網羅性があるか、という点を見ています。「税理士 選び方」を検索するユーザの顕在ニーズは「税理士との契約を検討しているから選び方を知りたい」ですが、潜在的なニーズとして、「相場を知りたい」と思っている可能性があります。
潜在的なニーズに対しての解決も図った方がベターですが、例えば「税理士の選び方」で3000文字書いたとし、「税理士の費用相場」で3000文字書いてしまうと、読み手としては、一体何を目的とした記事かわからなくなります。そのため、理想でいえば200文字程度で「税理士の費用相場」の内容を記載し、別記事として「税理士の費用相場」を作り、リンクさせる形が良いでしょう。
まとめ
新しく作成したホームページはドメインが弱いため、上位表示できない状態が続きます。ドメインを強く育てれば、色んな検索キーワードの流入が見込めるので、SEO対策=Web上の集客では有益な情報を記事化していく作業は必須といえます。
弊社では士業に特化したホームページを作成してきたので、様々なノウハウを保有しております。ホームページ制作や集客をお考えであれば、まずはお気軽にご相談ください。